ザイリンクスは、20nmプロセスのFPGA「UltraScale」の提供を開始する。ミッドレンジの「Kintex UltraScale」ファミリとハイエンドの「Virtex UltraScale」ファミリだ。Virtex UltraScaleファミリでは、ロジックセルを440万個搭載した品種も用意する。
ザイリンクスは2013年12月10日(米国時間)、同年7月にテープアウト(設計完了)を発表した20nmプロセスのFPGA「UltraScale」の提供を開始した。ミッドレンジの「Kintex UltraScale」とハイエンドの「Virtex UltraScale」の2つのファミリを投入する。同時に、20nmプロセスFPGAに対応した統合開発環境「Vivado Design Suite」も提供を開始する(関連記事:ザイリンクス、20nmプロセスFPGAをテープアウト――製品戦略反映し呼称も「8」ではなく「UltraScale」)。
Kintex UltraScaleは、ロジックセル数が最大116万個までの6品種をそろえた。DSPスライスは最大5520。通信速度が16.3ギガビット/秒のトランシーバを最大64個搭載している。
ハイエンドのVirtex UltraScaleファミリには、440万個のロジックセルを搭載した「XCVU440」を用意した。XCVU440は、同ファミリの中でロジックセルの最も大きい品種で、DSPスライスは2880個、16.3Gビット/秒のトランシーバを48個搭載している。28nm世代のプロセスを用いた「Virtex 7シリーズ」の中で最大規模品となる「Virtex-7 2000T」に比べ、ロジックセル数は2倍となっている。
さらに、Kintex UltraScale/Virtex UltraScaleは、100ギガビットイーサネットMAC(Media Access Control)と150ギガビット/秒のInterlaken IP(Intellectual Property)コアを搭載している。どちらも、28nmプロセスを採用した「Kintex 7シリーズ」「Virtex 7シリーズ」にはなかったものだ。
ザイリンクス日本法人社長のサム・ローガン氏は、UltraScaleのテープアウトを発表した際に、「FPGAを、単にロジックを入れるデバイスとしてではなく、電源回路やCPUを搭載し、SoC(System on Chip)といえるようなデバイスにした」と述べている。UltraScaleにイーサネットMACやInterlaken IPコアを追加したのも、そうした方針を引き継いでいる。「必要な周辺機能を追加することで、FPGAというよりも、SoCになっている」(同氏)。
Kintex UltraScaleとVirtex UltraScaleには、端子互換性がある。ローガン氏は、「デバイスだけで低コスト化を考えるのは難しいので、エコシステム全体でコスト削減を図る必要がある。UltraScaleではファミリ間で端子互換性を持たせて、IPと基板をリユースすることでコストを抑えられる。将来的に16nmプロセスのFPGAを出したときにも端子互換性があるようにする予定だ」と述べている。
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