東芝は、2014年度第1四半期(4〜6月)決算を発表した。電力・社会インフラ部門、コミュニティ・ソリューション部門などが好調に推移したこともあり、第1四半期としては2年連続の増収増益となった。映像事業は安定した黒字経営に向けて構造改革を継続する。
東芝は2014年7月31日、2014年度第1四半期(4〜6月)決算を発表した。電力・社会インフラ部門、コミュニティ・ソリューション部門などが好調に推移したこともあり、第1四半期としては2年連続の増収増益となった。営業利益は、電子デバイスが引き続き高い利益率を確保したことや、ライフスタイル部門で構造改革の効果が得られたこともあり、第1四半期としては過去最高となった。映像事業の構造改革については、安定的黒字化に向けて今後も継続して取り組んでいく予定だ。
2014年度第1四半期の業績は、売上高が前年同期比3%増の1兆4080億円、営業利益は同57%増の395億円、税引き前利益は同6%減の173億円、当期純利益は同68%増の89億円となった。売上高は好調な社会システム関連に加えて、電力システムも堅調に推移したことで増収となった。電子デバイス関連は、メモリの売価下落が影響し減収となった。
営業利益は、電子デバイス部門が貢献する。メモリの売価下落はあったものの、微細化の進展などで高い利益率を維持できたことから、電子デバイス部門全体では366億円を確保した。ライフスタイル部門は全体で33億円の損失となるものの、家庭電器が3四半期連続で黒字となり、PC事業もB2Bへの移行に取り組んだことで黒字に転換した。さらに、課題となっていたテレビ事業は若干赤字が残るものの、前年同期に比べると大幅に改善するなど、構造改革に取り組んできた成果が表れてきたという。
ちなみに、期初に予想した第1四半期の営業利益は約300億円で、実績として95億円上回ったことになる。内訳は予想に対して電子デバイス部門が約100億円、電力・社会インフラ部門が約50億円、それぞれ上回ったのに対して、ライフスタイル部門が約50億円下回ったという。
セグメント別にみると、業績に大きな影響力を持つ電子デバイス部門は、売上高が3720億円で、前年同期比6%減となった。減収はメモリの売価下落が影響した。こうした中でも利益率は高い水準を維持することができた。代表執行役専務を務める前田恵造氏は、「メモリ事業では20〜25%の売上高経常利益率を確保している。メモリの売価は6月末より安定期に入ってきた。7月以降は新型スマートフォンの生産が始まり、中華圏のスマートフォンでもメモリ搭載容量が4Gバイトから8/16Gバイトに増えている。さらに、データセンターやサーバー用SSD向けのメモリ需要も増加している」と、今後の見通しについて語った。
同社は、2014年4月末より15nmプロセス技術を用いたNAND型フラッシュメモリの量産を立ち上げた。2014年10月以降には四日市工場第5棟での量産も始まることから、メモリチップのさらなるコストダウンが可能となる。前田氏は収益性について、「今後はメモリ製品で25%以上の売上高経常利益率を目指す」と語る。
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