シナプティクスは、ルネサスエスピードライバ(以下、RSP)の買収を完了した。新生シナプティクスは、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCに続く新たな領域として、車載システム向けの事業を強化していく方針を明らかにした。
シナプティクスは2014年10月1日、ルネサスエスピードライバ(以下、RSP)の買収を完了したと発表した。新生シナプティクスは、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCに続く新たな領域として、車載システム向けの事業を強化していく方針を明らかにした。
シナプティクスは、2014年6月にRSPを買収することで最終合意し、これまで事業統合に向けて準備を進めてきた。タッチスクリーンコントロール技術や指紋センサー技術で強みを持つシナプティクスが、中小型LCDドライバIC技術で強みを持つRSPを買収することで、入力と表示制御機能の統合を可能とするICの開発など、新たな取り組みが期待されている。
旧RSPはシナプティクスジャパンとして、即日業務を開始した。シナプティクスジャパンの社長には旧RSP社長の工藤郁夫氏が就任。従業員も旧RSPの97%とほとんどの社員がシナプティクスに移籍したという。
シナプティクスの社長兼CEO(最高経営責任者)を務めるRick Bergman氏は、「タッチスクリーン技術とディスプレイドライバ技術という、異なる業界のリーダー2社が1社になることで、製品を市場投入するまでの期間短縮とサプライチェーンの簡素化を実現できる。その上、顧客に対して統合されたソリューションを提供することが可能となる」と話す。
その一例として、タッチコントローラICとドライバICを1チップに統合した製品(TDDI)を挙げる。Bergman氏によれば、「これまで、シナプティクス単独でTDDIチップを開発しており、2014年末までには製品化できる見通しだ。これからTDDIチップの製品群を拡充していく場合には、日本の開発チームと一体になって、シリーズ展開を進めていくことになろう。日本チームと共同開発する製品は、早ければ2015年中にも市場に投入できる見通しだ」と語った。
現行のタッチコントローラICにはマイクロコントローラが内蔵されている。TDDIチップでも、このマイクロコントローラを活用して、より高機能なディスプレイを実現することができるという。さらに、シナプティクスがノートPCや携帯端末で高いシェアを持つ指紋センサーとの連動も可能となる。同社ではこれらの技術を統合し、「Smart Display Platform」としてシステム提案を行っていく。
Bergman氏は、「TDDIチップの応用展開として当面は、解像度がHD(720p)とフルHD(1080p)のディスプレイを搭載したモバイル端末やタブレット端末をターゲットとして考えている。将来はローエンド機器(解像度がHD以下)向けも対応していくことになろう」と述べた。
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