CEATECで話題の「MEMS-IGZOディスプレイ」。シャープの技術者に、その“オンリーワン技術”をじっくり聞いてきた。
「CEATEC JAPAN 2014」(2014年10月7〜11日、幕張メッセ)で話題となっているのが、シャープブースで展示されている「MEMS-IGZOディスプレイ」。会場では7インチWXGA(1280×800ピクセル)のタブレットに搭載されたカタチで展示。CEATEC会期中に発表された「CEATEC AWARD 2014」でもグリーン・イノベーション部門で見事グランプリを受賞した注目のテクノロジーだ。
MEMS-IGZOディスプレイは、同社が誇るオンリーワン技術「IGZO」と、Pixtronix(米Qualcommの100%子会社)が有する「MEMSディスプレイ」技術とを融合した次世代ディスプレイ。従来の液晶ディスプレイよりも低消費電力と高い色再現性を実現しているのが特徴だ。
白色LEDのバックライトを光源とした従来の液晶ディスプレイでは、光が目に届くまで偏光板やTFT回路基板、カラーフィルターなど光を減衰させる“邪魔者”が存在していた。一方、MEMSディスプレイはバックライトの上にスリットを設けた構造物とその上にMEMSのシャッターがあるだけというシンプルな構成なので、バックライトの透過率を大幅に高めることが可能。液晶ディスプレイに比べて2〜3倍という光学効率によって、高輝度表示を実現しているのだ。
また、バックライトがホワイトではなく、RGBそれぞれ3色のLEDを使用し、必要なときだけMEMSシャッターが開いて色を混ぜて表示するので、カラーフィルターよりも色の再現性がよくなるという。「高い色純度とともに、液晶ディスプレイに比べてNTSC比120%という高い色再現性を実現した」(同社)。
「商品の“色味”で勝負するデザイナーなどから、タブレットやパソコンでプレゼンした際に実際の色味と異なる表示に困っているという声が聞かれていた。また外光下で図面やデザインを見なければいけないシーンなどには、高い輝度が大きな助けとなる。このようなBtoBのシーンでMEMS-IGZOディスプレイの色再現性や高輝度が活躍するだろう」(同社)。
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