EETJ ご自身は、2013年11月まで、(2014年10月にシナプティクスに売却した)ルネサスエスピードライバ(RSP)の社長を務めてこられました。RSPから戻られた際、ルネサスの業績不振の理由はどの辺りにあると思われましたか。
横田氏 RSPでは、会社規模もあって自己完結できる会社/事業を目指してやっていた。一方で、(復帰した)当時のルネサスには、どこか大企業という意識があり、“利益を上げて生き残る”という意識が薄れていた。その点に長年の業績低迷の原因があったと思う。会長の作田(=作田 久男氏)が常々、言っているように、徹底的に収益にこだわり、生き残っていく姿勢へと変わってきており、ようやく“普通の会社”になったと思っている。
EETJ 集中する事業の選択を終えられたということですが、集中する事業について教えてください。
横田氏 1つは、産業/家電分野だ。家電といっても、エアコン/冷蔵庫といった白モノ家電であり、いわばモーターを回すところに特に集中していく。産業機器用マイコンでは世界シェア26%、産業機器用SoCでは世界シェア30%を持ち、制御用デバイスにおいては、欧米、日本で良いポジションを築いている。
もう1つは、OA/ICT分野だ。プリンタなどOA分野は、市場成長こそあまり望めないが、日本のメーカーが強い領域であり、OA機器向けLSIのシェアは高い。そうしたシェアの高いLSIを核にしてHMI(ヒューマンマシンインタフェース)やUSB PowerDervery用デバイス、パワーデバイスなどの製品の展開を強めたいと考えている。
EETJ 扱う製品は、SoC/大規模LSIからマイコン、アナログ/パワーデバイスと多岐にわたるようですが、この中から新たな不採算事業が生まれる恐れはないのですか?
横田氏 事業の選択を行う上で重視したのは、点が線、線から面へという事業のつながりだ。(利益を生み出していた)RSPを売却したのも、そういった意味合いからだ。
以前は、プロダクト軸の事業で、それぞれの事業が点になっていた。これをつなぎ、線や面になっていけば、効率良く、収益を確保できるようになる。そのため、2013年末から体制を、アプリケーション軸に改め、産業/家電、OA/ICTという注力分野に向けて(自社製品を組み合わせた)キット、(社内外の製品を組み合わせた)ソリューションの開発を進めてきた。
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