ルネサス エレクトロニクスの売上高の約6割は、産業機器/家電/OA機器などの半導体を展開する汎用事業が担う。車載向け半導体事業を上回るビジネス規模を持つ汎用事業を統括する執行役員常務 横田善和氏に事業戦略などについてインタビューした。
2014年度(2015年3月期)に、2010年4月の設立以来、初の最終黒字を達成する見込みとなったルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)。長年の赤字体質から脱却し、いよいよ成長路線へと転換しようとしている。
ルネサスと言えば、世界シェア40%とされる車載マイコンなど自動車向け半導体に注目が集まっているが、売上高の60%近くは、産業機器や家電、IT機器向けの非車載半導体事業が占める。「汎用事業」と呼ぶ売り上げの過半を支える非車載半導体事業の浮沈が、ルネサスの成長の大きく左右することは間違いない。
さまざまな用途分野にまたがる汎用事業を統括するルネサス 執行役員常務兼第二ソリューション事業本部長の横田善和氏に、汎用事業における事業構造改革の進捗(しんちょく)やこれからの成長戦略などについて聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) 経営再建を目指した「変革プラン」の策定、実施から1年以上が経過しました。汎用事業における変革プランの進み具合はいかがですか。
横田善和氏 ルネサス全社としての、粗利益率45%、営業利益率2桁%以上といった数値目標を掲げて、収益性を重視した事業への変革を進めている。その中で、事業の選択と集中を進め、どの事業に集中するかという選択は終えた状況だ。車載事業に比べて、非集中領域が多いため売り上げ減の影響も多く残り、来年度(=2015年度)が汎用事業の売上高の底になるだろう。ただ、2014年度の業績予想からも分かる通り、収益性はかなり改善してきており、“守り”から“攻め”に大きくギアチェンジしていく時期に差し掛かっている。
EETJ 2014年度の業績予想通りにいくと、2016年度達成の目標として掲げていた営業利益率2桁%を2年前倒しで達成することになります。
横田氏 現状の利益は、為替効果によってもたらされた部分が大きく、今の実力値は(計上している利益の)半分程度だと考えている。あと1年期間の残る変革プランに引き続き、しっかりと取り組んでいく。
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