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農家は究極の“イノベータ”だ空にはドローン、畑にロボット(2/3 ページ)

» 2015年08月26日 13時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

“使えるデータ”の入手が鍵に

 このような“精密農業”を実現するには、農地の状況をエリア別にリアルタイムで測定・モニタリングし、それに対応できるようにする技術が必要だ。Luck氏は、「最も重要な課題となるのは、データである」と述べる。

 乳製品の加工などを手掛けるLand O’Lakesの子会社WinField Solutionsで、ビジネスマネジャーを務めるLarry Fiene氏は、EE Timesの取材に対し、「作物に病気の兆候が表れた時点で、その病気を発症した時期や原因が分かるようにしたいと考えている」と述べている。

photo WinField SolutionsのLarry Fiene氏

 Fiene氏は、現在、ハイテク農業分野において何が求められているのかという質問に対し、「窒素やリン、カリウムといった土壌の栄養レベルをもっと細かく調べることができるセンサーが必要だ。また、こうした栄養素がどのくらい植物に吸収されているかも分かるようにしたい」と述べている。

 米食品農業研究所(NIFA:National Institute of Food and Agriculture)でディレクタを務めるSonny Ramaswamy氏は2014年末に、「Internet of Ag Things(農業機器のインターネット)」について初めて語った。だが、Internet of Ag Thingsは全く新しい概念というわけではない。Luck氏は、「農業従事者は既に、Internet of Ag Thingsを実践している。ドローンを飛ばしたり、肥料散布/噴霧器、農地などにセンサーを設置したりして、空気中や土壌からデータを収集している」と説明している。

 しかし、コスト効率に優れた幅広いブロードバンド接続環境は、まだ十分には整っていないという。遠隔地でも、通信衛星などを利用することでインターネット接続はできるが、これは、増え続けるデータに対応できる安価で使いやすい接続環境とはいえない。

 現在は、農地からデータを収集した後、そのデータをSDカードやUSBメモリで持ち帰り、自宅のコンピュータにデータを移行し、農作物コンサルタントや協同組合の専門家に送って分析を依頼するという方法が取られている。こうしたプロセス全体を行うには数日かかる。

 しかし、エンドノードの農業機器に十分な演算能力が備わっていれば、生データを処理・編集して、必要なデータだけをクラウドサービスに直接送ることも可能になる。こうした自動プロセスはリアルタイムに実行される。Luck氏は、「現時点ではまだ実現できていないが、確実に実現に向かっている」と説明している。

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