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» 2015年11月19日 09時30分 公開

標準化は垂直統合型モノづくりの弱体化を招く?勝ち抜くための組織づくりと製品アーキテクチャ(10)(3/4 ページ)

[世古雅人,EE Times Japan]

標準化によりイノベーションがつぶされていく

 標準化された基幹部品がグローバル市場で大量に流通することで、技術蓄積の無い企業でも部品・部材を調達することで完成品ビジネスに参入できるようになる。従って技術イノベーションとコスト競争が必ず同時進行し、標準化された製品が世界市場に大量に普及して人々に恩恵をもたらす。一方で、企業は製品の差別化や付加価値が十分でないと、あっという間にコモディティ状態となり、価格競争に巻き込まれてしまう。

 ここでいったん整理をしてみたい。図2をご覧いただきたい。

図2 標準化の形態と製品の内部アーキテクチャ 図2 標準化の形態と製品の内部アーキテクチャ (クリックで拡大)

 インテグラル(擦り合わせ)型×クローズド・スタンダードでは、部品の相互依存性が大きい。従って、インテグラル(摺り合わせ)型の製品アーキテクチャは標準化と対極に位置する。また「技術の封じ込め」を徹底的に行う。完成品を構成する基幹部品を自社のみで流通させることは困難である。

 インテグラル型×オープン・スタンダードは、相互依存性が大きいことはクローズド・スタンダードと同じであるが、部品を調達できても基幹部品の相互依存性をクリアするためには深い技術蓄積が必要(第5回参照)であり、そこから組み合わせて完成品を作り上げることは困難である。この領域には、内部構造ではなく外部インタフェースだけを標準化する“中インテグラル・外モジュラー型“の製品も含まれるので、仮に、この製品が基幹部品であれば、標準化されたより上位の完成品に組み込まれることによって、グローバル市場への製品普及は一気に加速する。

 デジタル家電のように、CPUと組み込みソフトが製品設計の深い領域にある液晶テレビは、オープン環境で標準化されなくてもアナログ技術の場合に比べてはるかに速くモジュラー化が進む。

 1970年代のビデオデッキのようにアナログ家電の塊であった時代は、インテグラル型が一番の差別化要因であった。DVDプレーヤー・レコーダーに置き換わり、デジタルとモジュラー型となり、そこへオープンな標準化の波が押し寄せる。あれほど多くのイノベーションがあったにもかかわらず、モノづくりの変遷(アナログ→デジタル、インテグラル→モジュラー)と標準化によって、イノベーションがつぶされてしまったことは、個人的には残念でならない。

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