今回は、中国で売り出されたばかりの最新Wi-Fiルーターを分解していく。搭載する主要半導体は、Qualcommをはじめとした米国メーカー製品ばかり。なぜ、手ごろな中国製Wi-Fiルーターが、中国や台湾ではなく米国メーカー製を採用する理由についても紹介しよう。
中国やアジアでもLTE網を使ったWi-Fiルーターの普及が広く始まっている。大きさはおおよそ”キャラメル箱”程度だ。日本の家電製品量販店などで売られるルーターとサイズは同じだ。ただし、値段は日本で買うよりもかなり安い。
日本では無名のメーカーのWi-Fiルーターが中国では多く売られている。今回はその中の1つ、中国KinLeのWi-Fiルーター「4G-205B」の内部を紹介する。2016年1月に入手したいままさに市場に出回っている新製品である。
KinLeのキャッチフレーズは「Small is Beautiful」(小さいことは、すばらしい)。小ささにこだわったWi-Fiルーターだとネット広告などでアピールしている。
梱包箱から取り出すと、まず感じるのが「非常に素っ気ない」ということ。本体とケーブル(USB:電源用)と取り扱い説明書が入っているだけ。Wi-Fiルーターは、所有の喜びを感じる製品でこそないが、梱包箱を開封するときのワクワク感は一切ない。
実は、これでも梱包はよくなった方だ。2000年代後半の中国メーカー製品では、梱包箱の製品写真と中身が違っていることは、度々あったし、1番驚いたケースでは内部の製品を支えるための厚紙が、別の製品の梱包箱を再利用していたこと(図2)があったことだ。また明らかに新品ではないUSBケーブルが入っていることもあった。
今回のKinLe製品は、プラスチックの支えで梱包されており、素っ気なさこそあるが、特に不快に思うことはなかった。
取り扱い説明書は全ページ中国語で記載されている。輸出対象製品ではないようだ。図3に取り扱い説明書の表紙を掲載する。
取り扱い説明書の表紙には“WiFi”と記載すべきところが「MiFi」と印刷されている。”Mini Wi-Fi”といった言葉を略した「MiFi」という商品名の可能性も考え得るので、説明書や梱包箱、製品などくまなくチェックした。
だが、MiFiの文字は表紙以外には見つからなかったので、明らかなミスだと思われる。
2016年6月1日:追記
一部では、WiFiルーターを「MiFi」と呼ぶとのご指摘を読者からいただきました。Mi-Fiは商品呼称と訂正させていただきます。
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