図4に、ネットで公開されている端末の写真と端末から基板を取り出した状態の写真を掲載する。
ネット上にあった写真では、ディスプレイの形状はほぼ正方形だが、実際に手に入れた端末のディスプレイは、縦方向が3分の1ほど小さい横長のディスプレイになっている。ネットの写真は、別モデルのものである可能性もあるが、製品に貼られる「4G-205B」という型名表記からネットで探したものであり、同じ端末のはず、なのだが――。いずれにしても、実際に手にした端末では一回り小さなディスプレイが搭載されていた。
ディスプレイ以外に目を向けると、裏面カバーや筐体にはフィルム状のアンテナが3カ所、貼られている。内部は筐体+アンテナと基板、電池という3つの部品で構成されている。
電池は2100mAhの容量を持ち、Wi-Fiルーターとしては標準的サイズだ。ただし電池にはメーカー名やリサイクルマークなどの表示が一切ない、“無印電池”である。電池容量だけが書かれている。
メインの基板は、ノイズ対策の金属シールドが2カ所に施されている。デジタル信号処理部とWi-Fi通信部で1つ。もう1つは、LTE通信のRFトランシーバー、パワーアンプ部で使われている。
図5が、基板に搭載されていた主要チップである。
基本的に米Qualcommのチップセットで構成されている。QualcommのLTEモデムを中心とするチップセットに、Wi-Fi通信用のQualcomm-Atheros製チップ。さらに、米SkyworksやAvagoのパワーアンプ、アンテナスイッチという構成である。さらにベースバンド用キャッシュに米MicronのSDRAMメモリが搭載されている。すべて米国メーカー製の“All USA”のチップ構成だ。
通信ルーターやハブ製品は、“All Taiwan”“All China”でも構成することは可能だ。All Taiwanの場合にはMediaTek+AIROHA、All ChinaではHiSilicon+RDAなどの実例が多い。All USAではインテルという選択肢もある。
KinLeはQualcommチップをメインに商品を作っているが、実際には上記のような台湾セットでも中国セットでもほぼ同じものは作れたはずである。ではなぜQualcommを採用したのだろうか?
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