IDTは2016年4月、WiGig用チップ手掛けるカナダの半導体ベンチャー企業への投資を実施した。
カナダのWiGig用チップメーカーであるPeraso Technologiesは2016年4月21日、Integrated Device Technology(以下、IDT)と以前から支援を受けているカナダのベンチャーキャピタルRoadmap Capitalが率いるシリーズCの投資ラウンドにより2000万米ドルを調達したことを発表した。
IDTでCTO(最高技術責任者)を務めるSailesh Chittipeddi氏は、Perasoが発表したプレスリリースの中で、「IDTは、WiGigが無線ビデオ/データ送信の急増によって生じるボトルネックを軽減するカギになると確信している」と述べている。
Chittipeddi氏は、「Perasoには、WiGigエコシステムを構築して将来的な需要に対応する能力がある。IDTは、業界リーダーとして期待されるPerasoを支援できることをうれしく思う」と述べている。
WiGigは、60GHz帯を使用するマルチギガビット無線通信規格の通称で、60GHz帯を使った無線通信規格の策定を手掛ける業界団体「Wireless Gigabit Alliance」が2009年に開発した「IEEE802.11ad」規格をベースとする。なお、Wireless Gigabit Allianceは現在、無線LANの業界団体「Wi-Fi Alliance」に統合されている。
WiGigはここ数カ月間、商用使用と製品出荷の勢いが増している。例えば、Perasoは2015年12月に「W110」チップセットの製造を開始している。
Perasoは、「今回調達した資金は、スマートフォンやバーチャルリアリティー(仮想現実/VR)といった当社のターゲットアプリケーションで顧客の要望に応えるために使用したい」と述べている。
Perasoの社長兼CEO(最高経営責任者)を務めるRon Glibbery氏は、「WiGigに対する顧客からの期待は非常に大きい。マルチギガビット無線通信は今後、家電製品や無線インフラへの採用が増えると予想される」と述べている。
Perasoによると、今回の投資ラウンドには、成長初期段階のベンチャー企業に特化した投資を手掛けるiNovia Capitalも参加しているという。
Peraso、CMOSパワーアンプベンダーであるACCO Semiconductorが3500万米ドルを調達したと発表した1週間後に今回の発表を行った。ベンチャーキャピタルによる投資は、かつては半導体業界の生命線だった。だが、ベンチャーキャピタルが開発費が高額な上、開発サイクルが長期にわたる半導体企業への投資を避け、ソフトウェア企業への投資を好むようになったため、最近はめったに行われなくなっている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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