Dialog Semiconductor(ダイアログ・セミコンダクター)が、GaNパワーICを発表した。これによって同社は、GaNパワー半導体市場に本格的に参入する。同社は2016年8月24日、東京都内で記者説明会を開催し、GaNパワーIC「SmartGaN DA8801」の詳細を説明した。
次世代パワー半導体の代表格として、SiCとともに必ず名前が挙がるのがGaNだ。だが、太陽光発電システムをはじめ、家電、鉄道、自動車と確実に適用分野を広げ、デバイスやモジュールの投入も進んでいるSiCに比べ、GaNは後れを取っている。Dialog Semiconductor(ダイアログ・セミコンダクター、以下Dialog)が発表したGaNパワーIC「SmartGaN DA8801(以下、DA8801)」は、この“遅れ”を払拭する製品になる可能性がある。
DA8801は、耐圧650Vのハイサイドスイッチ、ローサイドスイッチの他、ゲートドライバやレベルシフタといった周辺のアナログおよびロジックを1チップに集積した、ハーフブリッジ構成のパワーICである。5×5mmのQFNパッケージを使用している。最大の特長は、パワースイッチだけでなく、アナログとロジックもGaNで1ダイに作り込んでいる点だ。
GaNパワースイッチ(GaN FET)とゲートドライバやレベルシフタを1パッケージに集積している製品は、Texas Instruments(TI)も出している。Dialogで事業開発部ディレクターを務めるTomas Moreno氏は、「TIの製品の場合、GaNを使用しているのはパワースイッチだけで、それ以外のゲートドライバなどはシリコンを使っている。つまり、GaNパワースイッチと複数のシリコンICを1パッケージに搭載している。当社のDA8801はシリコンを使っておらず、GaNだけで、しかも1ダイで実現している」と説明する。なお、DA8801はTSMCのGaN on Siliconプロセスで製造している。
DA8801の最初のターゲット市場は、PCやスマートフォンなど向けの25〜65WクラスのACアダプターである。DialogはACアダプター向けに、AC/DCデジタルコントローラーICや、急速充電用コントローラーICなどの製品群をそろえている。そこでDialogは、これらのコントローラーICに、DA8801と同社の同期整流コントローラーICを加え、「ACアダプタープラットフォーム」として提供する。
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