同社が開発したセンサーが取得できるのは心拍、呼吸、体動、発声という4種類の生体振動(図2)。
非接触でセンシングできることから、3つの用途を狙うことができるとした。第一がモニタリングセンサー。介護・看護業界向けに心拍や呼吸を検知する際に役立てる。あらかじめマットレスの底面に置いておくだけで検知できるため、導入のハードルが低い。
第二がヘルスケアセンサーだ。一般向けにイスやクッションに組み込んだ形で提供できる。日常的な健康管理や心理ストレスの可視化によって、健康増進に役立つ(図3)。
第三がセーフティセンサー。例えば自動車業界向けに身体の異常を検知する用途がある。運転席の座面に設置すれば、ドライバーの眠気や身体異常を把握でき、自動車側にフィードバックすることも可能だ。
同社が非接触シート型振動センサーを開発、事業化した理由は、得意の印刷技術を活用できるからだ。
振動センサーでは圧電素子を利用した。フッ素系樹脂を用いた圧電素子だ。同樹脂は圧力が加わると起電力を生み出す。40μmと薄い樹脂フィルムの両面に電極を形成し、振動センサーとして用いた。
「当社はフィルム表面加工技術(フィルムコンバーティング技術)を得意としており、約2年前から同技術を応用して非接触センサーの開発に取り組んできた。今回のセンサーでは、フッ素系樹脂の表面と裏面に電極を形成する際にこの技術を用いている」(凸版印刷)。フィルムコンバーティング技術を生かすことで、高品質なセンサーを大量に生産でき、これによって、コストダウンが容易になるという。
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