Infineon Technologies(インフィニオン・テクノロジー)は、ドイツ・ミュンヘンで開催された「electronica 2016」(2016年11月8〜11日)で、ADAS(先進運転支援システム)向けのセンサーシステムなどを展示した。Infineonは、ADASには、カメラ、レーダー、ライダーの3つが必要で、どれ1つとして欠かすことはできないと強調する。
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Infineon Technologies(インフィニオン・テクノロジー)が、車載事業をさらに強化させている。Infineonの2015年度の売上高は約57億ユーロ(約6800億円)。そのうちの41%を車載事業の売上高が占めている。IHS Technologyが発表した2015年における車載半導体サプライヤーランキングでは、NXP Semiconductors(NXPセミコンダクター)に次ぐ2位となっている。
Infineonの車載事業は、「ADAS」「クリーン」「コネクティビティ/セキュリティ」という3つのキーワードに関連するアプリケーションに重点を置いている。InfineonのAutomotive Sense & Control部門でバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるRalf Bornefeld氏は、「ADASや自動運転では、センシングする、処理する、駆動するという一連のサイクルが重要になる。センサーでクルマ周辺の情報を検知し、センサーからの情報をマイコンで処理し、パワー半導体でモーターなどを制御し、駆動する、ということだ。Infineonは、これらのサイクルを回せる製品、つまりセンサー、マイコン、パワー半導体を全て持っている。それが当社の強みだ」と述べる。
同氏は「車載向けに限ると、Infineonのシェアは、センサーではBosch(ボッシュ)に次ぐ2位、パワー半導体では1位となっている。マイコンは3位だが、シェアは拡大していくとみている。Infineonの車載向けマイコンがもともと強い分野はパワートレインだが、現在は、パワートレイン以外にも展開しようとしているところだ」と付け加えた。
Bornefeld氏が統括しているのは、センサー関連だ。同氏は、InfineonはADASや自動運転に必要な幅広いセンサー群をそろえていると強調する。
例えばInfineonは2009年、SiGe(シリコンゲルマニウム)を用いて製造した77GHzのミリ波レーダーチップを投入した。Bornefeld氏は、「この製品によって、それまで主流だった高価なGaAs(ガリウムヒ素)のミリ波レーダーチップから置き換えが進み、ハイエンドのクルマだけでなく、普及価格帯のコンパクトカーにもレーダーチップを搭載できるようになった」と述べる。
Bornefeld氏は、今後、Infineonが強化する自動運転向けセンサーの1つとしてライダー(LiDAR:レーザーレーダー)を挙げた。同氏は「自動運転においては、カメラ、レーザー、ライダーの3つが絶対に必要だ。どれ1つ欠けてはいけない」と強調する。「例えば霧の中を走る場合、カメラでは見えにくいので、主にレーダーを使って周囲の状況を把握することになる。ライダーは、レーダーのバックアップに使う。他にも、パンクしたタイヤの破片が路上に放置されている場合、カメラやライダーでしか検知できない。タイヤの破片は小さすぎて、レーダーで捉えることが難しいからだ。つまり、カメラ、レーダー、ライダーが持つそれぞれの特長を生かすことで、どんな状況にも対応できることになる」(同氏)
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