2017年の業績が好調だったIntelだが、CPUのセキュリティ脆弱性の対処には追われているようだ。同社CEOは、この脆弱性問題に対処するチップを2018年後半にリリースする予定だという。
Intelは、2017年度第4四半期(10〜12月期)決算を発表したが、その内容はウォールストリートの予想を上回るものだった。IntelのCEO(最高経営責任者)であるBrian Krzanich氏は決算発表の後に行ったアナリストとのカンファレンスコールで、最近指摘されたCPUのセキュリティの脆弱性に対処したチップを再設計して、2018年後半にリリースする予定であることを発表した。
Intelの2017年第4四半期の売上高は前年同期比4%増となる171億米ドルに達し、年間売上高は前年比6%増となる628億米ドルで過去最高を記録した。同社は、今四半期の売上高を2017年第2四半期の148億米ドルと比較して145億〜155億米ドルと予想している。
Krzanich氏はカンファレンスコールの中で、「Intel史上最高の1年を、Intel史上最高益となる四半期決算で締めくくることができた」と語った。
PCの売り上げの低迷が続く中、半導体企業はより幅広い役割を担うことが求められている。Intelは近年、PC重視のチップサプライヤーからデータ重視のチップサプライヤーへの転換を目標に掲げている。Krzanich氏は、「2017年はPC以外の売上高が21%増加し、当社の総売上高の47%に達した」と述べ、こうした取り組みの成果をアピールした。
Googleや他の組織の研究者は2018年1月3日(米国時間)、高度なソフトウェア解析を使用したハッカーにデータが漏れる恐れがあるとして、複数のプロセッサのセキュリティの脆弱性を指摘した。Intelはこれを受けて、この問題の対処に注力しているという。Krzanich氏は、「顧客やパートナー企業と共に、『Spectre』と『Meltdown』と呼ばれる脆弱性の問題に24時間体制で取り組んでいる」と述べている(関連記事:根本的解決はCPUの世代交代か、脆弱性問題)。
脆弱性が報告された直後にファームウェアのパッチやその他のソフトウェアがリリースされたが、ワークロードが増えたことでシステムの性能に悪影響が及んでいるという。Intelは2018年1月22日、このパッチによってシステムが頻繁に再起動される問題が発生することを明らかにし、改訂版がリリースされるまでパッチを適用しないよう呼びかけた。
Krzanich氏はアナリストに対して、「進展はあるものの、対処すべき課題が山積している。顧客やユーザーに対して進展を随時報告する透明性を約束し、そうした行動を通じて信頼を築いていきたい」と語った。
Intelの当面の課題はセキュリティの脆弱性に対処するパッチの改定版を提供することだが、既に半導体ベースの変更作業にも着手しているという。Krzanich氏は、「SpectreとMeltdown問題に対処した製品を2018年後半にリリースする予定だ」としている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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