新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年4月20日、「AIチップ・次世代コンピューティングに関する研究開発事業」を新たに開始すると発表した。同事業により、AIエッジチップや次世代コンピューティング分野で国内の研究開発を促進し、日本の情報産業再興を目指すという。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年4月20日、「AIチップ・次世代コンピューティングに関する研究開発事業」を新たに開始すると発表した。
同事業は
の2事業5研究開発項目から構成され、同日より「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」の公募を開始した。
AI(人工知能)が社会に浸透しつつある現在、AIの学習には膨大なデータ処理性能とその演算に不可欠な電力リソースが求められている。しかし、AIの社会実装が進むことでこれら要素のさらなる膨張が予想されており、NEDOはAIチップと次世代コンピューティングの2分野で新たに研究開発事業を開始することで課題解決を目指すとした。
NEDOは同事業の基本計画で、コンピューティング分野における日本と世界の現状と動向について言及している。日本の現状については、市場変化への対応が遅れたことにより半導体市場では1988年時点では50%超あったシェアが現在では約10%と激減し、論文数や特許出願件数も1位の米国と比較して非常に少ないと危機感を示すが、メモリやイメージセンサーなどハードウェアの個別要素技術で強みは健在と指摘している。
世界の動向については、米国大手IT企業の状況や欧米中の大規模ファンディングプロジェクトなどの概要を紹介している。その一方で、世界でも未踏の分野として、エッジコンピューティングと量子コンピュータなどの次世代コンピューティングを挙げている。特に、同分野ではアプリケーションの開発やハードウェアとの組み合わせ最適化に課題があるとし、社会への普及にはまだ遠い状況であるという。
NEDOは、このような状況下で「日本の情報産業を再興するためには、解決を目指す社会課題を絞った上で、これらの要素技術を生かしつつ、ハードウェア、ミドルウェア、ソフトウェアおよび、アプリケーションまでを見越した一体的な技術開発を進めることが勝負の鍵」と基本計画の中で述べる。
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