米Keithleyの半導体テストシステムは、同社が提供する汎用SMU(ソースメジャメントユニット)をベースに構築されている。これが生むメリットとは何か。
米Keithley, A Tektronix Company(以下、Keithley)は、1940年代から計測器を手掛けてきたメーカーだ。もともとKeithleyは、極めて微小な電流/電圧や電気特性を計測する、ボックス型の小型計測器を手掛けていたが、その後、1970年代には、量産向けの半導体テスターも扱うようになった。
計測器と半導体テスターの2つの事業を堅調に続けてきたKeithleyだが、2008年の世界金融危機(いわゆるリーマンショック)の際、約2年にわたり顧客の購買活動がぱたりと途絶えてしまう事態に見舞われた。
そこでKeithleyは、ある決断をする。半導体テスター用の専用ハードウェアは開発せず、汎用SMU(ソースメジャメントユニット)をベースに半導体テストシステムを構築することだ。Keithleyでマーケティングディレクターを務めるMark Cejer氏は、「年間の出荷台数が非常に多い汎用SMUをベースにテストシステムを構築することで、汎用SMU向けに開発したプロセッサ『TSP(Test Script Processor)』や、接続用インタフェースなどの要素技術を共有できるようになる。これによって開発コストを抑えることができ、より強固なビジネスモデルを実現できる」と説明する。
「これは競合他社には、ないアプローチだ。他社は、テストシステムのモデルチェンジをするたびに、丸ごと新しいシステムを開発しなければいけない」(Cejer氏)
汎用SMUをベースにしたテストシステムには、Keithleyにとっても顧客にとっても大きな利点がある。Keithleyにとっては、開発から統合、量産まで、同じ技術をベースにした計測器とテストシステムを一気通貫で提供できること。顧客にとっては、数値の整合性が取りやすくなることなどが挙げられる。
テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社の第3営業統括部で統括部長を務める木下伸二氏は、「当社の考え方として一貫しているのは、顧客が、開発から量産までのどのステージにいるかを理解し、それによってサポートする切り口を変え、開発効率の向上に貢献することだ」と述べる。
Keithleyが提供する半導体テストシステム「S5xx」シリーズは、開発効率の向上、つまりはテストスピードの高速化とテストコストの低減を目指して開発されてきた。
例えば「S535」では、ウエハー上の2サイトまたは4サイトを並行して測定できる「Multi-Site Parallel Test」という機能を搭載している。Multi-Site Parallel Testでは、2サイトであれば最大32ポイントずつ、4サイトであれば最大16ポイントずつを同時に測定できるので、生産性が大幅に向上する。Cejer氏によれば、ある顧客がMulti-Site Parallel Testを適用したところ、これまでウエハー1枚当たりのテスト時間が2.34時間だったものが、1.17時間と半減したという。
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