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SiTimeとBosch、次世代MEMSタイミングの共同開発へIoT向けを狙う

MEMSベースのシリコンタイミングソリューションのプロバイダーであるSiTimeは、Robert Bosch(以下、Bosch)との戦略的な技術提携を発表した。次世代MEMSタイミング共振器の開発を手掛けていくという。

» 2018年09月21日 09時30分 公開
[Nitin DahadEE Times]

 MEMSベースのシリコンタイミングソリューションのプロバイダーであるSiTimeは、Robert Bosch(以下、Bosch)との戦略的な技術提携を発表した。次世代MEMSタイミング共振器の開発を手掛けていくという。

 SiTimeのCEOであるRajesh Vashist氏は、「5G(第5世代移動通信)やIoT(モノのインターネット)、自動車などの市場は、今後10年間で、2000億台規模の需要機会を生み出すことにより、タイミング業界の成長をけん引していくだろう。これらの市場のオートメーションや通信、コンピューティングアプリケーションにより、タイミングコンポーネントの多機能化や高精度化、信頼性などが求められることになる。Boschの強力なMEMS処理能力は、当社の次世代高性能MEMS共振器を開発していく上での基盤となるだろう」と述べる。

 Boschのオートモーティブエレクトロニクス部門担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるJens Fabrowsky氏は、「新しい広帯域5GやIoT、運転支援システムなどをうまく動作させるためには、信頼性の高い安定したMEMSタイミングデバイスが必要だ。超精密なタイミングの実現なしに、次世代システムのメリットやチャンスを獲得することは不可能である。今回のパートナー提携により、BoschのMEMS市場におけるリーダーシップや、優れた製造技術、SiTimeの革新的なMEMSタイミング技術とを組み合わせることで、5GやIoT、自動車用途向けに、独自の新しい機能や極めて重要なサービスを実現できるようになるだろう。

 Boschは2009年から、SiTime向けに、既に10億台を超えるMEMS共振器を製造してきた。Boschは1995年以来、世界MEMSセンサー市場におけるリーダー的地位を維持しており、その販売台数は95億台を上回る。同社は約25年前に、MEMS技術をサポートする製造プロセスを開発していることから、「当社のMEMSセンサーは、世界中のほぼ全てのスマートフォンに搭載されている」と主張する。

米粒と比較したときの、SiTimeのMEMS共振器の大きさ

 SiTimeは、同社のMEMSタイミングソリューションによって、60億米ドル規模のタイミング業界に対応していく考えだ。電気通信やエンタープライズ、民生機器などのさまざまな分野の旧式のクオーツ製品を置き換えることで、携帯電話機や高速鉄道、株式市場などのあらゆる分野において、精度の高い時間管理を実現することが可能になる。同社は、あらゆるエレクトロニクス市場向けに、10億台を超える製品を出荷してきたことから、MEMSタイミング市場全体の90%を超えるシェアを獲得しているという。2018年7月には、Intelとの協業を発表し、Intelの5Gマルチモード無線モデム向けに、タイミングソリューションを統合していくことを明らかにした。IntelのLTEやミリ波無線、Wi-Fi、Bluetooth、GNSS(全球測位衛星システム)ソリューションなどにも適用していく考えだという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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