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戦艦Intelの方向転換なるか ―― 新CEOの使命Bob Swan氏がCEOに正式就任(1/2 ページ)

Bob Swan氏は、米国最大の半導体メーカーであるIntelで暫定CEOを7カ月間にわたり務めた後、正式にCEOに就任することが決まった。同社は現在、50年間の歴史の中で、最も重大な岐路に立たされている。依然として、半導体市場における優位性を確保しているが、その優位性をあとどれくらいの間にわたって維持できるのかは不明だ。アナリストたちは、「Intelは、差し迫った状況に対して重大な決断を下すことにより、同社が今後、どれくらい耐えられるのかが決まるだろう」とみているようだ。

» 2019年02月05日 10時30分 公開
[Dylan McGrathEE Times]

 Bob Swan氏は、米国最大の半導体メーカーであるIntelで暫定CEOを7カ月間にわたり務めた後、正式にCEOに就任することが決まった。同社は現在、50年間の歴史の中で、最も重大な岐路に立たされている。依然として、半導体市場における優位性を確保しているが、その優位性をあとどれくらいの間にわたって維持できるのかは不明だ。アナリストたちは、「Intelは、差し迫った状況に対して重大な決断を下すことにより、同社が今後、どれくらい耐えられるのかが決まるだろう」とみているようだ。

Intelは現在、崖っぷちに立たされている

 Swan氏にとって、気を引き締めて準備すべき時が来た――。

 米国の市場調査会社であるTirias Researchの主席アナリストを務めるJim McGregor氏は、「空母の方向転換を実現するのは、非常に難しい仕事だ」と述べる。

 Intelは、短期的にはそれほど厳しい状況にはならないとみているようだ。同社は1990年代初めから、世界半導体売上高ランキングにおいて首位を維持してきたが、2017年に初めてその座をSamsung Electronicsに明け渡した。しかし、Intelは最近、3年間連続で過去最高になる売上高を記録したと発表したところだ。また2019年には、さらに新たな売上高記録を達成する見込みだとしている。

 McGregor氏や他のアナリストたちが懸念しているのは、Intelの長期的戦略に関することだ。IntelにとってPC用プロセッサの売上高は、主要な収入源だが、ここ10年ほど前からPC売上高が意味ある成長を遂げられなくなってきたため、長年にわたり多様化への道を模索してきた。しかしその結果、現在は複雑な状況にある(ただし、同社の2018年第4四半期の売上高全体のうち、データセンターやIoT、メモリ、プログラマブルロジックチップなどのデータ処理関連を中心とするビジネスが、46%を占めている)

 Intelは現在も強大な力を持っているが、製品/製造戦略決定などの重大な決断を下すことにより、かつてIBMが最大手の半導体メーカーとしての地位を他社に明け渡したのと同じ道をIntelが最終的にたどることになるのかどうかが決まるだろう。

 McGregor氏は「Intelは現在、崖っぷちに立たされているような状況にある。今後20年間をかけて、リーダーとしての地位をどのように獲得すべきかを判断する必要がある」と述べる。

 Swan氏が迫られている重大な決断の中でも最も重要度が高いのは、Intelの今後の製造業務に関する判断だ。同社はここ2年間、10nmプロセスの歩留まりの問題に悪戦苦闘してきたが、同社の製造能力は常に、最も高い収益性を実現してきた。しかし、この優れた製造能力を維持するためには膨大なコストがかかるため、長期的にはアウトソーシングに移行すべきだとの声も上がっている。

Bob Swan氏 Bob Swan氏

CEO起用は、最善の措置

 McGregor氏は、「正直なところ、Swan氏をCEOに起用したのは、Intelにとって最善の措置だったと思う。同氏は根っからのビジネスマンである。Intelは成長していく上で、重大な経営上の意思決定を行う必要に迫られている」と述べる。

 EE Timesのインタビューに応じた他のアナリストたちも、Swan氏のCEO就任を称賛している。同氏は2016年から、IntelのCFO(最高財務責任者)を務めてきた。それ以前にも、eBayをはじめとする複数の企業でCFOを務めるなど、主に財務分野での経歴を持つ。

 米国の市場調査会社であるMoor Insights & Strategyでプレジデント兼主席アナリストを務めるPatrick Moorhead氏は「Intelは、実に正しい戦略をとったといえる。同社は、実行力を高める必要があるため、Intelでの勤務経験がない外部人材を登用するのは、意味がないだろう」と述べる。

 McGregor氏は、「Intelが、技術分野ではなくビジネス分野のバックグラウンドを持つCEOを起用するのは、Swan氏が初めてではない。2005〜2013年に同社のCEOを務めたPaul Otellini氏は、同社にとって初のエンジニアの経歴を持たないCEOだった」と述べている。

 Tirias Researchの主席アナリストを務めるKevin Krewell氏も、「Swan氏の起用は、Intelの取締役会にとって現段階で最適な選択だったといえる」と述べる。

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