TSMCの2021年における設備投資費の中には、米国アリゾナ州の新工場の建設費用も含まれている。
同社のチェアマンであるLiu氏は、「われわれは最近、当社の製造の中核を担っている台湾工場と同じ規模の製造拠点を構築するという長期計画の一環として、米国アリゾナ州フェニックスに1100エーカーという広大な土地を確保した」と述べている。
またLiu氏は、「当社は今のところ、フェーズ1の製造に関する計画のみを実行している。2024年には、ウエハー生産能力を月産2万枚に引き上げたい。市況や、政府のサポートによるコスト経済などを踏まえると、将来的に実現可能だとみている」と付け加えた。
その一方でTSMCは、中国でも、南京市近郊で製造能力を拡大していくという。まずは、米政府からブラックリストに指定されたHuaweiを顧客リストから失うという打撃から、需要が回復するのを待つようだ。中国の電気通信最大手であるHuaweiは、2020年前半におけるTSMCの事業全体のうち、約14%を占めていたという。
Liu氏は、「中国の需要は引き続き増加するとみられるため、それに応じて当社の南京工場の生産能力を徐々に拡大していくつもりだ」と述べる。
TSMCによると、2020〜2025年における同社売上高のCAGR(年平均成長率)は、米ドルベースで10〜15%となる見込みだという。
TSMCのCEO(最高経営責任者)を務めるC.C. Wei氏は、「5GやHPC関連のアプリケーションなどのメガトレンドは今後数年にわたって続くとみられ、それによって当社の最先端技術に対する力強い需要が今後数年間で増大する見込みであることから、われわれは高成長時代に突入しつつあるといえる」と述べている。
エレクトロニクス業界の先導者であるTSMCによると、2021年のスマートフォンの世界出荷台数は、前年比で10%増加する見込みだという。スマートフォン市場全体に占める5Gスマートフォンの割合は、2020年には18%だったが、2021年には35%を上回るとみられる。
Wei氏は、「5Gスマートフォンの半導体搭載量は引き続き、4Gスマートフォンと比べてさらに増加していくとみられる。
また、5Gネットワークのレイテンシが改善されることにより、さらに多くのAIアプリケーションやクラウドサービスが登場するだろう」と述べている。
また同氏は、「5Gは、確実に複数年に及ぶメガトレンドになるとみられるため、デジタル計算がますます普遍的な存在になることで、当社の4つの成長プラットフォームである『スマートフォン』と『HPC』、『オートモーティブ』、『IoT』が全て、今後数年の間に成長していくだろう」と述べる。
さらに、「業界全体が5G時代へと突入していく中で、TSMCの売上高成長に最も大きく貢献するとみられるのが、HPCだ。その主要な用途としては、CPUやネットワーキング、AIアクセラレーターなどが挙げられる」と続けた。
「2021年の半導体市場の成長率は、メモリ分野を除き、約8%と予測されている。またファウンドリー業界は、成長率約10%で伸びる見込みだ。TSMCの2021年における成長率は、ドルベースで10%半ばまで向上するだろう」(Wei氏)
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