Bryson氏は「IntelがCEO交代の直前に重大な決断を下すとは思えない。その上、IntelはCEO交代を伝える文書の中で、7nmへの移行スケジュールに関して投資家に良いニュースを提供できるだろうと示唆していた。とはいえ、TSMCは、Intelの方針にかかわらず、今後数年間にわたり確固たるポジションを維持するとみている」と語った。
ただしBryson氏は、TSMCの強気な事業拡大計画について、警告も発している。
同氏は、「設備投資費を急増させると、結局のところそれが循環的な低迷を促進するきっかけになる場合がある。しかし、半導体業界にはさまざまな成長ドライバーが存在しているため、まだ循環サイクルの曲がり角には近づいていない」と述べる。
スイスの投資銀行Credit Suisse(クレディ・スイス)のバイスプレジデントを務めるRandy Abrams氏は、EE Timesに提供したレポートの中で、「IntelがCPU製造の大部分をTSMCにアウトソースするようになるのは、まだ数年先ではないだろうか」と述べている。
英国の株式調査会社Arete Researchのシニアアナリストを務めるBrett Simpson氏は、米国EE Timesとの電子メールのやりとりの中で、「Intelは、CPUについては今後も引き続き自社製造する見込みだが、他の製品に関しては、早ければ2021年中にアウトソースするのではないかとの見方もある。同社は恐らく、2021〜2022年にかけて、主力製品ではないCPUの製造においてファウンドリーの利用を開始するだろう」とコメントしている。
また同氏は、「Intelは2021年2月半ばに、CEOの交代を予定しているため、最終的に計画をまとめ上げるまでにはもう少し時間を要するのではないか」と述べた。
さらに、「GAA(Gate-All-Around)や3次元積層といったトランジスタ技術の進化が進んでいることもあり、Intelは10nmから7nmに移行する際、トランジスタ密度を大きく向上しようとしている。同社が現在、10nmプロセスで約1億トランジスタ/mm2を達成しているのに対し、TSMCは、5nmプロセスで約1億7500万トランジスタ/mm2を実現している。このためIntelは、今後も製造を継続していく上でのあらゆる決断を正当化することができるよう、7mプロセスでトランジスタ密度の大幅な向上を実現する必要があるのだ」と続けた。
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