エレクトロニクスサプライチェーンは、さまざまな弱点を抱えているため、調達のエキスパートでさえ、その複雑な問題に悩まされることが多い。自動車業界は2021年初頭から、車載用マイコンをはじめさまざまな半導体チップが不足するという、半導体ライフサイクルの非常事態に直面している。
エレクトロニクスサプライチェーンは、さまざまな弱点を抱えているため、調達のエキスパートでさえ、その複雑な問題に悩まされることが多い。自動車業界は2021年初頭から、車載用マイコンをはじめさまざまな半導体チップが不足するという、半導体ライフサイクルの非常事態に直面している。
Intelによると、部品不足の状況は、半導体の領域をはるかに超えて悪化しているため、今後数年間にわたって半導体不足が続く可能性があるという。自動車業界はかなり切迫した状況に追い込まれており、自動車メーカーが製造を一時停止したり、政府の介入を求めるなどしている。
2021年の半導体不足によって壊滅的な状況がもたらされた背景には、例えば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や、生産能力の制約、在庫水準の低下、不完全な予測によってもたらされた不確実性など、さまざまな要因が考えられる。
SEMIの「Smart Mobility」イニシアチブの責任者を務めるBettina Weiss氏は、「要するに、自動車メーカーと、部品を供給する本来の製造業者(OCM:Original Component Manufacturer)との間の透明性が欠如しているのだ。サプライチェーン全体で建設的な対話を行い、協力体制を構築することにより、業界サイクルをもっとうまく把握して、在庫計画に関する情報を提供できるようにする必要性がある」と指摘する。
自動車メーカーは、パンデミックが世界半導体供給ラインに強烈な影響を及ぼす以前から、サプライチェーンの可視性を向上させるための取り組みを進めてきた。SEMIと米国自動車研究センター(Center for Automotive Research/以下、CAR)は、半導体業界と自動車業界の協業体制を推進すべく、覚書に署名している。これにより、半導体需要の急激な変化による影響を緩和することが可能になるという。CARは、自動車市場のリサーチや分析を行う非営利組織で、自動車業界が直面している課題や、米国の経済や社会に与える影響なども調査している。
SEMIは発表資料の中で、「この覚書は、自動車/モビリティ業界を推進するためのプログラムやイベントなどを介して、両業界のエコシステムを構築することにより、マイクロエレクトロニクスの製造と設計の利害関係者たちとをつなぐための基盤を築いていく」と述べている。このイニシアチブは、世界車載エレクトロニクスサプライチェーンの協業体制を促進すべく、SEMIのSmart Mobilityプロジェクトをベースとして策定されたものである。
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