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半導体不足をEOL品提供で支える、市場で存在感を増すRochesterRochester Electronics Colin Strother氏/藤川博之氏

メーカーの都合によって生産終了となった「EOL(End of Life)品」の供給を手掛けるRochester Electronics。オリジナルの半導体メーカーの認定を受け、場合によっては製品の再設計/再生産までも行うという独自事業を展開する同社は、半導体不足や企業買収の活発化などといった環境の中で、その存在感を増している。今回、Rochester Electronicsでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるColin Strother氏と、日本オフィス代表の藤川博之氏に、半導体業界におけるEOLビジネスの重要性や同社の戦略について聞いた。

» 2022年08月22日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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2021年には10億個以上の製品を出荷

――半導体不足が依然として続く中、EOL(End of Life)品市場にどのような変化がありましたか。

Rochester Electronicsグローバル本社 エグゼクティブバイスプレジデント Colin Strother氏

Colin Strother氏 世界半導体貿易統計(WSTS)によれば、2021年の世界半導体市場規模は前年度比25.6%増、2022年も同8.8%増の成長が見込まれるなど、半導体業界は未曽有の状況が続いている。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による製造/出荷の中断、さらには予期せぬ自然災害などもサプライチェーンの不確実性とリードタイム長期化につながっている。一方、メーカーによる製品戦略の見直しと最適化などによって同期間に部品の生産中止は15%上昇しており、現在の半導体市場における供給不足は広範囲に及んでいる。

 供給不足の課題を抱える製品は2種類に分けられる。一つは需要量に圧倒されているマルチソースのデバイスで、もう一つは、代替手段が少ない独自製品だ。

 パワーマネジメントおよびパワーディスクリートのカテゴリーは入手困難なマルチソースデバイスの好例といえる。これらは複数の供給元から入手できるものの、さまざまなアプリケーション/産業で広く用いられるため、サプライヤーは供給が追い付いていない。同様の理由でロジック製品も入手困難となっている。顧客はこの問題を解決するために、性能要件の再検討やデートコードの制限解除などによって、調達の選択肢を増やしている状況だ。

 一方、MCUやMPUなどは設計上の制約から代替の選択肢が限られる、という課題がある。一般的に同じ製品ファミリーの中が最適な選択肢となるが、現在、上位互換品のみならず、下位互換品を利用するケースも増えている。また、極端な例では、別パッケージに対応するためにボードを再設計する顧客も出てきた。

――こうした状況の中、Rochester Electronics(ロチェスターエレクトロニクス/以下、Rochester)のビジネスにはどのような影響があり、どのような対策や戦略をとっていますか?

Strother氏 Rochesterは70社以上の大手半導体メーカーの認定を受けた正規代理店として、現行品および製造中止(EOL)品を正規在庫として供給しており、こうした状況下の顧客をサポートできる立場にある。EOL品および現行品の両方で、リスクフリーのソリューションを求める顧客は非常に増えている。2021年には10億個以上の製品を出荷したことが、まさにその証明といえるだろう。

 Rochesterは従来、EOL品とその関連ソリューションで知られてきたが、現在は在庫の約3分の1(50億個)が現行品となっている。それらも全て工場直送かつ正規品、保証付き製品だ。この未曽有の状況の中、世界中で新規および既存の顧客がRochesterにサポートを求めている。

 また、より効率的なデジタルプロセス開発や各主要市場での販売拠点の拡大、24時間グローバルなサービスとサポート提供などの推進のほか、各地のチャネルパートナーを通じ、eコマースとオンラインデジタルカスタマーサービスの強化にも努める。

 われわれは、即時発送が可能な世界最大規模の在庫ポートフォリオを継続的に拡大しサポートすることで、顧客のニーズに迅速に対応していくことに注力している。さらに、製品に焦点を当てたサービスソリューションを開発/拡大する一方で、倉庫の能力増強や効率化のためのプロセス自動化、物理的およびデジタルなグローバル販売サポート拡充もさらに加速していく。

深刻化する模造品の心配も不要

――2021年、半導体製品の設計および製造に関する規格「IATF-16949:2016」の認証を取得されましたが、その意義を教えてください。

Strother氏 クルマに搭載される半導体は過去10年間で劇的に増加しており、今後も電動化や高度な安全機能の導入に伴い、その数は増え続けることが予想される。当社の品質マネジメントシステム(QMS)がIATF-16949:2016の要求事項に適合していることを証明する適合証明書を取得したことは、自動車産業において最高水準の製品とサービスを顧客に提供するという当社のコミットメントを証明するものだ。

 車載分野では高い品質と信頼性が要求されるため、半導体の調達は複雑化しており、在庫が逼迫しているこの時期に、同じ要件を満たす代替品を見つけることは困難となっている。Rochesterは商業、産業、軍事、航空宇宙、車載などあらゆる製品グレードに対応した現行品およびEOL品を提供しており、車載製品では4000以上の品番で構成する1億1000万個の在庫を有している。その結果、顧客は性能要件、デートコードの制限解除、新しいパッケージオプションの検討によって、代替の車載製品を入手することができている。

――半導体の不足により、模倣品が問題になっています。この問題に対しどのような対策を取っているのでしょうか? また、模倣品問題についての啓発活動は行っていますか?

Strother氏 模倣品ビジネスは巨大であり、現在のような逼迫した状況で製品が入手できない場合、模倣品をつかむリスクは著しく高まる。製品の真贋を確認するテストやチェックはあるが、その実施には時間とコストがかかり、場合によっては完全に保証されないこともある。Rochesterのような、半導体メーカーの認定を受けた正規販売代理店から購入すれば、これらのリスクを排除することができる。われわれは半導体メーカーから部品を直接調達しているためテストの必要がなく、トレーサビリティーと保証のある製品を提供している。

 われわれは15年以上、さまざまな包括的模倣品防止啓発キャンペーンを展開してきたほか、半導体産業協会(SIA)や模倣品対策委員会(ACTF)の設立も主導した実績も持つ。さらに現在は税関、国境警備局、司法省、その他の法的機関と協力しながら、模倣品に対抗する調達のベストプラクティスを積極的に推進する役割も担っている。

パートナー拡張で、日本の半導体を世界に

――大阪でのセールスオフィス新設から1年が経過しました。直近の日本市場での手応えや今後の方針について教えてください。

Rochester Electronics 日本オフィス代表 藤川博之氏

藤川博之氏 全社の状況と同様に現行品、EOL品ともに需要は強く、日本では2021年度、過去最高の業績を記録した。2021年6月に大阪オフィスを新設した際に東京オフィスも含めて外勤/内勤の営業部隊を増員しており、増加する問い合わせ、顧客数に対応してきた。大阪オフィス開設によって西日本の顧客との距離が縮まり、レスポンスタイムが物理的に短縮できたことは大きい。既存顧客へのアプローチを強めるのはもちろんだが、この2年間、新規顧客が大きく増加しているため、そうした顧客に対する認知度向上および関係強化も進めていく方針だ。

 また、われわれの顧客および、パートナーである半導体メーカーの両方が製品開発戦略の改善を継続推進しており、新規開発する製品群と、生産中止を含めたメンテナンスが行われる製品群の“二極化”が進行。現行品とEOL品の両方の需要が高まっているが、この流れは今後さらに強まっていくと予測される。また半導体メーカー、半導体商社のM&Aも進んでおり顧客にとっては製造中止だけでなく販売チャンネルの問題も存在している。

 2021年度には京都セミコンダクターと新たにパートナーシップ契約を結んだが、今後も日本の半導体メーカーとのさらなる関係強化を図っていく方針だ。既存パートナーおよび新規パートナー構築によって当社ラインアップを拡張させながら、日本の半導体メーカーの製品を世界中の顧客へと展開していきたい。

 営業、マーケティング面ではCOVID-19の先行きが不透明なこともあり、オフラインとオンラインのハイブリッドで活動を強化していきたい。具体的には内勤営業のさらなる増員のほか、われわれの正規代理店網への拡販トレーニング実施などによって、全体的な販売チャンネルの強化を計画している。また、自社Webサイト強化はもちろん、自社主催ウェビナーなども取り組んでいく。

 現在の半導体業界は、市況の変化だけでなくCOVID-19や災害などさまざまな要素が入り交じることで複雑さを増しており、極めて先が読みにくいが、前述の“二極化”は間違いなく進行していくと考えている。それはEOL品を主に扱う私たちにとっては間違いなくチャンスであり、われわれは顧客からの要望に応えるべく投資を継続していきたい。


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提供:Rochester Electronics, Ltd.
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年9月22日



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