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米国が半導体技術センターを設立へ、110億ドルを投入2023年Q1にガイドラインを発表(1/2 ページ)

米国は、110億米ドルを投じて国立半導体技術センター(NSTC:National Semiconductor Technology Center)を創設する計画だ。アジア、特に中国への依存度を下げることが狙いの一つである。

» 2023年03月27日 14時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

 米国は、半導体産業におけるリーダーシップ奪還に向けて、110億米ドルを投じて国立半導体技術センター(NSTC:National Semiconductor Technology Center)を創設する計画である。米国商務省は2023年第1四半期中に、NSTC創設に向けた最初の提案に関するガイドラインを発表するという。

 NSTCは米国CHIPS法の一環で、イノベーションをラボからファブに移行するために、政府と産業界、学界、起業家、労働者の代表、投資家が参加する官民コンソーシアムとなる。

 米パデュー大学の准教授であるPeter Bermel氏はインタビューで、「同計画を実施する上での優先事項の一つは、海外生産への依存度を下げるための国内製造能力の構築である」と述べている。同氏は、米国防総省が資金提供するプロジェクトで、半導体の放射線硬化技術を開発している。

 Bermel氏は、半導体製造の大部分は海外で行われていて、パッケージングや高度なパッケージング、ヘテロジニアスインテグレーションの海外依存の割合はさらに高いと語った。

 米国半導体イノベーション連合(ASIC:American Semiconductor Innovation Coalition)やMITRE Engenuityなどの複数の業界団体は、NSTCと全米先端パッケージング製造プログラム(NAPMP:National Advanced Packaging Manufacturing Program)の創設に関する勧告を発表している。

MITRE EngenuityのRaj Jammy氏 出所:MITRE Engenuity MITRE EngenuityのRaj Jammy氏 出所:MITRE Engenuity

 MITRE Engenuityの半導体アライアンス担当チーフテクノロジストを務めるRaj Jammy氏は、米国EE Timesの独占インタビューで、「専門企業が協力して、現時点では実現不可能なソリューションを提供する必要がある」と語った。

 「業界は、ますますシステムのニーズに駆り立てられるようになっている。これまでは『優れた次世代チップがあるから、それを使ってシステムを作ってほしい』という順番が成り立っていたこともあったが、現在はその順序が逆になっている。そのため、求められるソリューションを、1つの企業だけで提供することはできなくなっている」(同氏)

 MITRE Engenuityと同団体が率いるSemiconductor Allianceには、国内の業界における研究開発の半分以上を占める米国の半導体企業や、米国トップクラスの大学が参加している。

海外との連携

 Jammy氏は、「NSTCは、以前の取り組みとの重複を避けるために、主要技術を開拓してきたベルギーimecなどの海外のグループと協力する必要がある」と指摘している。

 imecのCEO(最高経営責任者)であるLuc Van den hove氏は、EE Timesに宛てた声明の中で、「imecは、これまで約40年にわたり、半導体業界のイノベーションをけん引してきた。CHIPS法(CHIPS and Science Act)が支援しようとしている全ての企業を、既にパートナーとして確保しているため、あらゆる方法でNSTCをサポートできることをとてもうれしく思う」と述べている。

 Jammy氏は、「imecは、素晴らしい事例だといえる。imecには、以前からこの課題に取り組んできた中心的な施設がある。米国には今、この問題全体を新しく本質的に検討する機会が到来した。米国は既に、米国ニューヨーク州アルバニーのAlbany NanoTech Complexにある研究所や、米国マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)のリンカーン研究所などの施設を保有している。これらの施設のネットワークを共同で構築し、さらに大きな取り組みを実現するには、どうすればよいだろうか」と述べる。

 Albany Nanotechは、米国の公的資金で建設された唯一の300mmウエハー施設を稼働させている。そのパートナー企業には、IBMやGlobalFoundries、Samsung Electronics、Applied Materials、東京エレクトロン、ASML、Lam Researchなどが名を連ねる。

 Jammy氏は、「連携している研究開発機関や同盟国との間で、レジリエントなネットワークを構築することが極めて重要だ。シンガポールや、フランスの研究機関CEA-Letiは、非常に優れた能力を持っており、パワーエレクトロニクス向けSOI(Silicon on Insulator)技術のような、実に素晴らしい取り組みを実現している」と述べる。

 Jammy氏によると、シンガポール科学技術研究庁の研究機関であるInstitute of Microelectronics(IME:マイクロエレクトロニクス研究所)は、驚異的なパッケージング能力を備えているという。

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