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Massive Computeデータセンターへの期待光伝送技術を知る(21) 光伝送技術の新しい潮流と動向(2)(1/3 ページ)

光技術や光モジュール開発の動向をお伝えするシリーズ。今回は、データセンターの新しい動向を解説したい。

» 2023年06月29日 11時30分 公開
[高井厚志EE Times Japan]
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 コロナ禍の制限も緩和され、ことし(2023年)3月に開催された光通信の国際学会「OFC(Optical Fiber Communication Conference) 2023」は多くの現地参加者が活発な意見交換ができる場となった。このような場は3年ぶりであり、「やはりFace-to-Faceは違う」という感想が多く聞かれた。活発なQ&Aやオフライン議論ができるなどもあるが、発表や展示会の空気感はバーチャルでは得られない。

 今回のOFCではいくつかの話題があった。一番の話題はLinear Drive Opticsであろう。Aristaが先導してプレナリーやパネルなどで紹介し、MACOMがSMF(シングルモードファイバー)とMMF(マルチモードファイバー)トランシーバーの動態展示を行った。賛否両論で議論が盛り上がったが、この技術は今回から述べる新しいデータセンターにも関連するので詳しくは次回以降に述べたい。

 一方、多くの人が興奮していたのが、注目を集めているChatGPTであり、それが導く新しいAI(人工知能)データセンターとそこに適用する光部品である。巨大IT企業の変調という不安材料の多い中で開催されたOFCだが、「来年(2024年)のOFCは2023年とは全く異なる雰囲気になるだろう」という人が多かった。

 本稿以降、さまざまな機会に紹介してきた次世代データセンターおよび、そこに使用される技術革新について、最近の情報を踏まえて紹介し、光技術の将来展開を予想したい。技術革新には新しいビジネスチャンスがあり、読者にはそれを捕まえて欲しいと願っている。

データセンターの新動向

 40年にわたり光部品業界に身を置いてきた経験から、データセンターはほぼ10年あるいは12年ごとに革新的な変化が起こっていることを繰り返し述べてきた(図1)。そして、その度に市場規模が桁違いでステップアップすることも見てきた。2020年代にも新しいデータセンターの潮流が生まれ、大きな市場のステップアップが起こるはずである。12年周期の起点である辰年(直近は2012年、次は2024年)に注目しており、特に2024年から起こる変化に期待している。

図1 データセンターのトレンド[クリックで拡大] 出所:高井 厚志, エレクトロニクス実装学会第78回OPT公開研究会, July 8th, 2022(2010年代までの図版は本連載の第3回で既出)

 ChatGPTに1億人が登録した衝撃は、膨大なパラメータを有するAIモデルあるいはそれを利用したアプリケーションという新しいビジネスチャンスの到来を示した。「AIは現実のツールである」と、世間や業界に強く認識させた。図2は、OFC 2023でのNVIDIAによる講演(M2A.3)のトップスライドである。「AIはビジネスになる」と言っている。

図2 AIのビジネスチャンスの到来[クリックで拡大] 出所:NVIDIA

 ChatGPTには賛否両論があるが、使い方しだいということだろう。実際、筆者はMicrosoftの「Bing」を使っているが、それなりの答えを出してくれる上に、対話しながら内容を深められたので旅行計画立案には有用だった。ちなみにこの記事はChatGPTを使用していない。記事の編集はEE Times Japanにお願いしているが、ChatGPTを使用するかどうかは不明だ。閑話休題。

※編集注)本稿の編集に、ChatGPTは使用しておりません(笑)。

 これからは選択されたデータを用い、選択されたモデルでビジネスを支えるツールとしてのAIが注目されるだろう。そして、それによる研究開発の差別化が進むものと考える。Google CloudにRecommendations AIが紹介されているが、その中の「Your data, your models.(自分だけのデータ、自分だけのモデル)」という項目名称が、これからのAIビジネスの方向を示している。

 このAI/MLシステムを支えるために光技術が使用されると期待している。Ranovusがパネル講演(SF2)で示した図3の左端には、AI/ML向け光インタコネクト市場が巨大な円で表示されている。それだけ期待が大きいということを意味している。実用化に向けて先行して挑戦するのが最近の勝ち組への常道である。

図3 新しい巨大市場への期待[クリックで拡大] 出所:Ranovus
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