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CHIPS補助金でTSMCがAI半導体製造へ 米国は半導体リーダーに返り咲けるか?課題は人材不足(2/3 ページ)

» 2024年05月10日 11時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

人材の確保が課題 「すぐに解消される可能性は低い」

 TechInsightsのシニアリサーチフェローであるDan Hutcheson氏は米国EE Timesに対し、「CHIPS法によるTSMCとIntelへの投資により、米国に安全で信頼できるサプライチェーンへの道筋ができた。しかし、特に労働力の面では、まだ多くの課題が残っている」と語った。

 Albright Stonebridge Groupでグローバルなテック企業のアドバイザーを務めるPaul Triolo氏によると、労働力不足でアリゾナでのTSMCの生産開始が遅れている問題は、周辺で事業を拡大しているIntelなど他のチップメーカーにも影響を与える可能性があるという。

 Triolo氏は米国EE Timesに対し、「フェニックス地域に多額の投資をしているTSMCやIntel、その他の先進的な製造業とサプライチェーンの企業にとって、未解決の大きな問題は労働力だ。水と電力は本当の問題ではない。TSMCは使用する水を全てリサイクルしていて、この地域には十分な電力がある。課題は、導入サポートや継続的なサポートを提供できる、先進的な企業の有能な中核人材を見つけることだ」と語った。必要なサポートには、電気技師や溶接工、配管工などの技術者も含まれる。

 Triolo氏は、「クリーンルームの建設と数億米ドルをかけた先進リソグラフィシステムの導入のために、TSMCは既に何百人もの熟練した技術サポート要員を台湾から派遣している」と指摘し、「施設の運営や技術サポートを行う熟練した人材の不足は今後も問題になるだろう。TSMCは、CHIPS法の資金提供を申請している他の企業と同様に、長期的な人材開発計画を提出した」と述べている。

 CHIPS法の施行を担当するRaimondo氏も人材に関する課題を認識していて、CNBCのインタビューでは「人材不足が急速な成長のボトルネックになっていることは承知している。米国はもっと技術者を輩出しなければならない」と語った。

 Triolo氏は、「米国で大学レベルの半導体プログラムが新設されても、半導体技術者の不足がすぐに解消される可能性は低い」と指摘する。同氏は、「米国内で必要なスキルを持つ人材を輩出できるようになるまでの間、重要なポジションを埋めるため、TSMCが技術者を派遣し続けなければならない。このことを米国政府関係者も認めている。移民制度の改革も一助にはなるが、この面ではあまり進展が見込めそうにない」と分析している。

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