PFCとLLCを1個のICで制御、周辺部品21個が不要に：AV機器／OA機器など向け

[竹本達哉，EE Times Japan]

PFC部とLLC部は高度に連携

　サンケン電気は2024年7月、PFC（力率改善回路）制御機能を内蔵したLLC電流共振電源用制御IC「SSC4S911」の量産を開始したと発表した。PFC部とLLC部を1つのICで制御でき、別個のICで制御する場合に比べ21個の部品を削減できるという。液晶テレビなどAV機器や多機能プリンタなどOA機器、通信機器、産業機器などに向ける。

LLC電流共振電源用制御IC「SSC4S911」の外観［クリックで拡大］ 提供：サンケン電気

　SSC4S911は、小型SSOP24パッケージ（9.9×6.0×1.75mmサイズ）に臨界モードのPFC制御機能とLLCタイプの電流共振制御機能を内蔵した。LLC制御部にハイサイドとローサイドの駆動回路を内蔵し、ハーフブリッジの外付けパワーMOSFETを直接駆動できるようになっている。

　PFC制御部とLLC制御部は連携しており、個別ICで必要だった連携動作のための回路設定が不要になる。連携動作としては、PFC部の出力電圧が任意の値に達するとLLC部が動作を始めるといった起動連携や、スタンバイ時にLLC部がバースト発振動作に切り替わるとPFC部も同動作に移行するスタンバイ動作連携に対応している。

PFC部とLLC部の連係動作概要［クリックで拡大］ 出所：サンケン電気製品説明資料

　サンケン電気では、PFC部とLLC部の制御を1パッケージ化し、連携動作に必要な回路部品なども内蔵したことで「従来別個のICで制御していた場合に比べ、21個の部品を削減できる」としている。

部品削減イメージ［クリックで拡大］ 出所：サンケン電気製品説明資料

誤動作防止ニーズにも対応

　電圧共振期間を検出し、ハイサイドとローサイドのMOSFETのゼロ電圧スイッチング（ZVS）を自動的に制御するデッドタイム自動調整機能や、電流共振外れ検出機能など多様な保護機能を内蔵する。「ノイズの影響を受けやすいAV機器やOA機器の誤動作防止への要求が強まる中、本製品ではグランドを制御系グランド（AGND）、PFC部パワーグランド（PGND）とLLC部パワーグランド（LGND）に分けてレイアウト設計することで、一層のノイズ強化を図っている」（サンケン電気）

「SSC4S911」の主要機能の概要［クリックで拡大］ 出所：サンケン電気製品説明資料

　SSC4S911は、AC入力、DC入力の双方に対応している点も特長だ。AC入力の場合、Xコンデンサー放電機能を有効にし、DC入力の場合に同機能を無効にするようになっており、高い自由度で電源設計が行える。