アナログ&ミックスドシグナル半導体メーカーNOVOSENSE Microelectronicsが、日本市場での事業拡大に本腰を入れている。高性能、高信頼性のモータードライバーICや絶縁ソリューション、磁気センサーを中心に、車載や産業制御の分野を狙う。同社でEast Asia Sales Directorを務めるKidder Shen氏は「日本市場への長期的なコミットメントを実現し、日本の顧客のパートナーとして信頼を獲得し、高信頼性のソリューションを提供できるよう全力を尽くす」と意気込む。
――NOVOSENSE Microelectronicsの概要を教えてください。
Kidder Shen氏 NOVOSENSE Microelectronics(以下、NOVOSENSE)は2013年に設立された、アナログおよびミックスドシグナル技術に特化したファブレス半導体企業だ。車載や産業制御(インダストリアルコントロール)などの市場をターゲットに、センサーやシグナルチェーン、パワーマネジメント製品を展開している。2023年の売上高は約1億8000万米ドルだった。
本社は中国にあり、日本、韓国、ドイツ、米国などに拠点を置く。現在の従業員数は約800人で、従業員の約半数が研究開発に携わっている。
――日本市場に参入したのは、いつごろですか。ターゲット分野についてもお聞かせください。
Shen氏 NOVOSENSEは日本には2021年に参入し、2022年に日本向けの製品の量産を開始した。2023年には日本支社を設立し、顧客に高品質かつ迅速な技術サポートやサービスを提供すべく、体制作りを強化している。
日本では、自動車と産業オートメーション分野を狙う。日本はこれらの分野で、OEMやティア1など強力なエコシステムとサプライチェーンを有している。高性能、高信頼性、高集積を特徴とする当社製品が貢献できると確信している。
2024年5月には横浜市で開催された「人とくるまのテクノロジー展」に出展し、当社のソリューションを展示した。潜在顧客と多くの議論を交わし、好意的なフィードバックを得ることができた。
――日本ではどのような製品の販売に注力していきますか。
Shen氏 主に絶縁ソリューション、ドライバーIC、磁気センサーの3つになる。
NOVOSENSEはデジタルアイソレーター、絶縁ゲートドライバー、絶縁アンプ、絶縁電源など、さまざまな絶縁製品を提供していて、これらは車載用途で広く採用されている。大電流への対応や、8mm以上や15mm以上の沿面距離要件への対応など、さまざまなニーズに応えられる包括的な製品群を所有している。
ドライバーICは、IGBTやパワーMOSFET、SiCパワーデバイス向けのパワーデバイス用ドライバーICと、モータードライバーICをそろえている。モータードライバーICは、ブラシ付きDCモーターからブラシレスDCモーター、ステッピングモーターなどあらゆるモーターの駆動に向けた製品を用意している。特に自動車ではさまざまなモーターを駆動するので、NOVOSENSEの幅広いドライバーIC群が役立つだろう。
磁気センシング技術は、当社の中核的な技術でもある。ホールセンサーをはじめ、AMR(異方性磁気抵抗)センサーやTMR(トンネル磁気抵抗効果)センサー、角度センサー、電流センサーなど豊富なセンサー群を提供している。
上記の他にも、パワーIC、圧力センサー、アンプ、シグナルチェーンコンポーネントなども併せて提供できる。自動車分野ではインタフェースが重要になるので、CAN/LINトランシーバーなど、車載アプリケーション向けのインタフェース製品も提供していることが特徴だ。
――日本での戦略についてお聞かせください。
Shen氏 顧客からの信頼を獲得すべく、包括的なサポートを長期的に提供することが最も重要だ。車載や産業制御の分野は部品の使用年数が長いため、10年、20年といった長期にわたりサポートを提供し続ける必要がある。その間、高い性能と信頼性を備えた製品とサービスを安定的に提供できるかが、重要だと考えている。われわれは目先のビジネスや、短期的な収益獲得よりも、長期的な価値を重視している。
当社は、単なる半導体プロバイダーではなく、日本の顧客にとってのパートナーでありたい。プロバイダーとパートナーの最も大きな違いは、顧客の要望を深く理解しているかどうかだ。われわれは、コンポーネントのみならずシステムレベルのソリューションやサービスを提供し、長期にわたって寄り添うことで、日本の顧客のさらなるシステムコスト削減と技術的課題の解決に貢献したい。
――日本ではどのようなサポート体制や販売体制を構築していますか。
Shen氏 NOVOSENSEの日本支社には既に営業チームとFAE(フィールドアプリケーションエンジニア)チームがあり、顧客サポート、技術サービス、ローカルパートナーシップ開発を行っている。併せて、日本語によるビジネスコミュニケーションを加速させている。製品の品質についても、日本語で直接、顧客に説明している。パートナーであるネクスティ エレクトロニクスとRYODENとともに、日本の顧客にサービスを提供するために、販売ネットワークと技術サポート能力を強化している。当社は、世界各地のサプライチェーンパートナーとも良好な関係を築いており、コロナ禍の部品不足も最適なリードタイムと柔軟なサポートで乗り切った。これは、当社が顧客の信頼を得ている理由の一つであり、日本の顧客にも安心していただけるのではないか。
――日本市場に投入予定の新製品についてお聞かせください。
Shen氏 アイソレーターでは、より高集積の製品を提供していく。ドライバーICについては、ASIL-D適合品を開発しているところだ。磁気センサーは、電流センサーの高帯域化を図るとともに、AMRやTMRなどの先進技術を導入した磁気センサーを増やしてラインアップを充実させていく。
車載向けには、保護ICや、リア照明に特化した多チャンネルの高集積LEDドライバーICを発表する予定だ。CANトランシーバーの高速化にも取り組んでおり、CAN SIC(Signal Improvement Capability)製品の開発を進めている。人とくるまのテクノロジー展では2024年4月に発表したばかりのCAN SIC「NCA1462」を展示した。広帯域と高速性を備えた同様のシリーズを拡充していく。モータードライバーソリューションでは、2024年初頭にリリースした高集積SoC(System on Chip)「NSUC1610」の展開に注力したい。これは、マイコンとモータードライバー、MOSFETを統合したSoCで、NOVOSENSEの集積技術を体現した製品になっている。
――日本の顧客にメッセージをお願いします。
Shen氏 NOVOSENSEは長期的なビジネスを視野に入れて、日本市場への投資を加速していく。顧客の皆さまからの要望をお聞きしながら、長期のコミットメントを維持して信頼獲得に努めたい。
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提供:Japan Novosense Microelectronics株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年9月20日