2024年3月に第2世代のSiC MOSFET製品を発表し、続々と製品ラインアップを拡充。市場シェア拡大に向けた取り組みを加速するInfineon Technologies。今回、同社グリーンインダストリアルパワー部門フェローを務めるPeter Friedrichs氏に、最新製品の特長や市場の展望などを聞いた。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2024年3月に第2世代のSiC(炭化ケイ素)MOSFET製品「CoolSiC MOSFET Generation 2(G2)」を発表し、続々と製品ラインアップを拡充。SiCパワーデバイスの生産能力の拡大なども図り、市場シェア拡大に向けた取り組みを加速している。
今回、ドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」(2024年6月11〜13日)で、Infineonのグリーンインダストリアルパワー部門フェローを務めるPeter Friedrichs氏に同社の最新SiC MOSFET製品の特長や市場の展望などを聞いた。
CoolSiC MOSFET G2は、同社が2017年に発売した従来品である第1世代(CoolSiC MOSFET G1)の高い信頼性を維持しつつもさらなる改良を加え、性能および性能価格比などを向上させたもの。前世代と比べて5〜20%の損失削減が可能な他、同社のディスクリート製品向け接合技術である「.XT」のさらなる改良によって、熱抵抗の特性であるRth(j-c)を12%削減。オン抵抗は耐圧650V品で6.7mΩ、同1200V品で7.7mΩと「クラス最高の低オン抵抗」を実現した。Friedrichs氏は、「これによってD2PAK-7のようなパッケージで50kW以上の対応を実現できる。これは以前には考えられなかった性能だ」と強調していた。
この他、最大200℃で累積100時間の動作が可能な過負荷動作やアバランシェ耐量、耐圧1200V品で2マイクロ秒という短絡耐量も確保している。
Friedrichs氏はさらに、G2がG1と同様に高い信頼性を維持している点も強調。G1および同社シリコンベース製品の出荷100万個当たりの欠陥数を示すdpm(defects per million)の比較図を示した。同社が2017年以降出荷してきたG1は、成熟した技術で基本的にSiCデバイスよりも信頼性が高いとされるシリコンデバイスより、dpmが低いという。同氏は「トレンチ型SiC MOSFETは信頼性が低いといわれるが、それは事実ではない。当社の製品は非常に高い信頼性を備えている」と強調していた。
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