米中ハイテク冷戦 似て非なる両者の戦略：トランプ氏再選で激化か（2/3 ページ）

[Mohammed Tmimi，EE Times]

投資へのアクセスを簡素化した中国

　中国は最近、規制を修正し、中国の上場企業に対する海外戦略的投資へのアクセスを簡素化した。新しい規制は2024年11月1日付で、資格基準を海外機関だけでなく個人投資家まで拡大し、より幅広い国際資本を誘致するという中国の目標に合致させる形となった。

　重要な変更点としては、企業の経営権の獲得を目的としない海外投資家に対する、最低投資額の基準引き下げなどが含まれる。この調整により、金銭面での参入障壁が下がり、投資家が企業に対して経営面での影響力を持つことなく、中国市場に容易に参入できるようになる。

　今回の新しい規制により、海外投資家が中国の上場企業の株式を取得するための、新たな手段を提供することになる。海外投資家は、私募（直接株式発行）やブロック取引（大規模株式譲渡）などの既存手法に加え、合併買収の一般的なプロセスであり、既存株主から大量の株式を直接購入することが可能な、TOB（株式公開買い付け）も利用できるようになった。

　さらに、持ち株比率や売却禁止期間などに関する制限も緩和されている。こうした柔軟性の向上により、海外投資家はより自由に手持ち株を調整できるだけでなく、これまで中国市場の海外保有株式の流動性を制限する要因となっていた売却までの保有義務期間も短縮されることになる。

　このような変更は、国際資本向けにより柔軟でアクセスしやすい環境を作ることで、長期的な海外投資を誘致することを目的としている。中国は、市場安定性を高め、金融市場における世界的な関心の高まりを刺激することで、世界的な貿易摩擦が続く中でも海外とのパートナーシップに対するコミットメントを示そうとしているのだ。

STAR市場に注力する中国

　2024年6月19日、中国トップの証券監督当局は、技術革新のサポートを改善し、質の高い成長を促進するために、STAR市場を強化することを目的とした新たな措置を導入した。

　2019年の開設以来、STAR市場はハードテック企業の主要なプラットフォームとなっており、技術分野での人気は着実に高まっている。CSRCが発表した最近の改革は、新興産業、革新的なビジネスモデル、先端技術において前進する企業により大きな支援を提供することを目的としている。主な改訂には、真の市場価値をよりよい反映に向けたIPO（新規株式公開）価格決定メカニズムの改善などがある。

　さらに、STAR上場企業の資金調達オプションの拡大や、取引メカニズムの最適化、市場リスクを軽減するための監督の強化、M&Aおよび企業再編の促進にも重点を置いている。これらの措置は、技術の進歩のダイナミックハブとしてSTAR市場を強化するという中国のコミットメントを明示している。

　これらの改訂は、中国のSTAR市場が技術指向の投資の競争勢力として重要であり、世界的に関心が高まっていることを明確に示している。