2024年9月、CSRCは、戦略的な新興産業全体のM&A活動を変革するために策定した「6つの合併および買収ガイドライン」を導入した。同ガイドラインは幅広く適用されるが、その影響は半導体業界で特に顕著で、中国の資本市場におけるM&A活動の新たな波を引き起こすと期待されている。これらのガイドラインは、産業統合の促進と、M&Aプロセスの合理化、ハイテクおよび将来志向の分野の成長の加速を目的としている。
半導体などの業界では、承認プロセスの簡素化によってM&A活動が促進され、企業によるリソースの統合や、事業拡大、グローバルな競争力の強化が可能になると予想されている。これは、中国のイノベーション主導型開発戦略の主要目標である。
主な政策変更点
さらに、これらのガイドラインは、プライベートエクイティやベンチャーキャピタルの参加を促進することで、長期的な投資を呼び込むと期待される。CSRCは、透明性と公正な市場価値管理の重要性を強調し、M&Aを装った違法行為の防止に注力している。
中国のA株市場には現在、218社以上の半導体関連企業が上場しており、これらの企業は主に上海証券取引所(SSE)と深セン証券取引所(SZSE)に上場している。
市場改革と投資規制における米国と中国の戦略の違いは、技術的優位性をめぐる両国の激しい競争を浮き彫りにしている。米国が厳しい投資制限を通じて重要な技術セクターにおける中国の進出を制限することに注力している一方で、中国はより幅広い投資家を引きつけ、国内の技術エコシステムを強化するために資本市場を積極的に改革している。
これらの動きは、世界の投資家にとって変化する複雑な状況を生み出し、課題と新たな機会の両方を提示している。最終的に、これらの規制措置は変革の時期を示していて、世界の技術リーダーシップと金融戦略の新時代の舞台を設定している。
大統領選挙においてドナルド・トランプ氏の勝利により、中国の技術市場はさらなる圧力に直面する可能性がある。新たな関税やエンティティリストの拡大などが予想され、これらのよって課題が悪化する可能性がある。こうした措置は、米国と中国のどちらに、より多くの損失をもたらすのだろうか。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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