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BroadcomはNVIDIAに次ぐ注目銘柄になり得るのか 半導体大手10社の現在地大山聡の業界スコープ(84)(2/3 ページ)

» 2025年01月16日 11時30分 公開

後退したIntel 躍進したSK Hynix

 Intelが4位に後退していることも、2024年の大きな特徴といえるだろう。昨今では時々Samsungに首位を譲ることもあったが、1992年以降長年にわたって半導体売上高首位の座を守り続けてきたIntelは、現在大変な苦戦を強いられている。売上高ランキングとは直接関係ないものの、ファウンドリー事業で巨額の赤字を計上している点がIntelにとって最大の課題である。

 5位のSK Hynixは、2024年はNVIDIAに次いで大きく躍進した企業である。HBMで高い実績を誇るSK Hynixは、2024年のDRAM市場において初の首位に輝いたと推定される。SK HynixのHBMは2024年10〜12月期も大きく伸びているので、年間ランキングでIntelを上回る可能性もありそうだ。

成長したQualcomm、Micron、AMD

 6位のQualcommは、スマホ市場が伸び悩んだため、前年から1桁のプラス成長にとどまった。最近ではスマホにAI機能を搭載させようとしたり、PC市場に参入したりするなど、興味深い動きも見せている。今後の動向が楽しみではある。

 7位のMicron Technologyは、2023年はメモリ不況でトップ10圏外に落ち込んでしまったが、2024年のメモリ市況復活で再びトップ10に返り咲いた。HBM業界ではSK Hynixに後れを取っているものの、Samsungを上回る実績を上げている。

 8位のAMDは、NVIDIAの躍進の陰に隠れ、あまり目立ってはいないものの、データセンター向けでは2024年7〜9月期にIntelを上回る実績を上げるなど、かなりの善戦を見せている。ただしこれは、Intelがデータセンター向けに予定通りに戦略商品をリリースできていないことが要因になっている。

市場低迷でマイナス成長になったInfineonとTI

 9位のInfineon Technologiesは、同社が得意とするパワーデバイスおよび車載半導体の市場が低迷したため、マイナス成長を余儀なくされた。ただ、前年比で1桁のマイナスにとどまった点はむしろ相対的にポジティブに評価できるだろう。

 10位のTexas Instruments(TI)は、同社が得意とする汎用アナログIC市場が低迷し、2桁のマイナス成長を余儀なくされた。11位のMediaTekとは僅差なので、年間売上高トップ10にとどまれるかどうか、瀬戸際である。

 以上がトップ10各社の2024年概況で、前年比プラス成長がNVIDIA、Samsung、Broadcom、SK Hynix、Qualcomm、Micron、AMDの7社、マイナス成長がIntel、Infineon、TIの3社である。マイナス成長3社のうち、Infineon、TIは得意分野の市況低迷が原因だが、Intelは自社内の戦略や体制に問題があった、とみることができるだろう。

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