RISC-Vを採用する動きが欧州でも活発になっている。2025年3月には、Infineon Technologiesが、RISC-Vベースの車載用マイコンのローンチを発表した。RISC-V Summit Europe運営委員会のメンバーは、これはRISC-Vベースの半導体の製品化を加速させるとみている。
「RISC-V Europe Summit」がフランス パリで2025年5月12〜15日に開催された。命令セットアーキテクチャ(ISA)は引き続き主流派として採用される方向へ進み、欧州の専門家たちは、欧州の役割や独自の強み、根強く残る課題などについて議論を展開した。
RISC-V Summit Europe運営委員会のメンバーである、バルセロナスーパーコンピューティングセンター(BSC:Barcelona Supercomputing CenterのTeresa Cervero氏とミュンヘン専門大学(Munich University of Applied Sciences)の教授であるStefan Wallentowitz氏は米国EE Timesの独占インタビューの中で、RISC-Vの初期段階の成長促進を支援する、欧州学術研究の中心部から見た展望について語った。
両氏は対談で「RISC-Vのムーブメントは重要な変曲点を通過したものの、特に欧州が半導体をめぐる野望にどのように資金を提供するのかという点において、戦略的な調整が必要だ」と語っている。
中心テーマは“コンセプトから具体的な商用製品へのRISC-Vの移行”である。そのペースは欧州業界に特徴的なものなのかもしれないが、着実に早まっている。Wallentowitz氏は「RISC-Vのムーブメントは、もう後戻りできない局面に達している。列車は既に走り出していて止められない」と主張している。
同氏は「市場調査予測では常に、このアーキテクチャが明確かつ指数関数的な成長軌道を進んで行くことが示されている」と指摘する。両氏とも「幅広い業界からのコミットメントを得るには、実際の商用製品を目にするということが非常に重要だ。一般的な感情として、信じるためには手で触れなければならない」と強調している。
このような商用化の実現可能性に関する明確な証拠が、業界のエンゲージメントを高める上での重要なけん引役となる。
欧州業界には明るい兆候が見られる。重要な一例として注目されているのが、Infineon Technologiesだ。同社は、RISC-Vべースの車載マイコン(MCU)の新しい製品ファミリーを発表予定であることを明らかにした。
この決定は、欧州メーカーとしては初めてRISC-V Internationalのプレミアメンバーシップに昇格したことも相まって、非常に重要な証明となった。Wallentowitz氏は「このような影響力のある企業が、さらに多くの発表を行ってくれることを期待している。今後、時間と共に増えていくだろう」と楽観的な見方をしている。
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