世界中でRISC-Vの存在感が拡大する中、その開発/導入において中国が重要な勢力として台頭している。中国では北京/杭州/上海が主要な拠点となっている。
オープンスタンダードの命令セットアーキテクチャであるRISC-Vは、世界中で急速に存在感を拡大していて、その開発/導入において中国が重要な勢力として台頭している。中国上海で2025年7月16〜19日に開催された「RISC-V Summit China 2025」は、RISC-Vエコシステムで急速に高まる中国の存在感を示すものだった。
RISC-V InternationalのCEOであるAndrea Gallo氏は、米国EE Timesのインタビューに応じ、RISC-Vが世界的に着実に成熟していることについて「世界中どこに行っても、RISC-Vの導入やRISC-Vを用いた作業が同じレベルの成熟度で行われ、技術的専門知識や貢献度も同レベルであることが分かる」と述べている。
Gallo氏は「こうした状況は、RISC-V Internationalの前CEOであるCalista Redmond氏が明示していた『ローカルに投資し、グローバルに連携する(invest locally and engage globally)』という哲学に合致する。何千人もの学生たちがRISC-VベースのAI製品を開発しているというブラジルをはじめ、地域ごとの違いがまったく見られない。これは私にとって素晴らしいメッセージだ」と強調した。
中国の強力なRISC-V開発は、北京と杭州、上海の3つの主要拠点に集中している。RISC-V Summit Chinaはそれぞれの地域で計画され、2023年には北京で、2024年には杭州で行われt。これまでにもこの3つの主要拠点において持ち回りで開催されていて、分散しながらも相互につながった成長を反映している。
北京では、オープンソースコミュニティーの重要な人物であるYungang Bao氏が北京オープンソースチップ研究所(BOSC)を主導している。
BOSCは、オープンソースのRISC-Vコアを開発し、ブラウザ経由でアクセス可能な包括的なオープンソース設計ツールを提供している。ブラジルではクラウドベースのツールでドラッグアンドドロップでRISC-Vコアを構築できる取り組みがあり、Gallo氏はBOSCとブラジルの取り組みが類似していると指摘する。
BOSCのビデオインタビューによると、BOSCの重要な構成要素であるOpen Shangshanコミュニティーにとって、2024年は素晴らしい年だったようだ。BOSCは2024年に、初となる「Shangshan開発者会議」を開催し、Shangshanの開発者やパートナーなどが集結してアイデアを交換したり進捗状況を共有したという。
さらにGallo氏は「BOSCは、UNJ検証チームと共同でオープンな『Shangshan検証コンテキスト』も主催し、大成功を収めている。このイニシアチブでは、大勢の大学生や熟練エンジニアが共同でSanchan CPUのバグを見つけた。とても素晴らしいことだ」と述べた。
「BOSCのミッションは、RISC-V AI命令セットを推進し、処理アプローチを介してオープンソースソフトウェアスタックに貢献するほか、高性能RISC-V AI IP(Intellectual Property)を提供し、そして最終的にアップストリーム/ダウンストリームのパートナーを招集してRISC-V AI製品を商用化することにある」(Gallo氏)
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