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NVIDIAとIntelがAIスーパーチップを共同開発へ、両CEOが語った狙いNVIDIAとArmの今後にも言及(1/2 ページ)

NVIDIAが2025年9月18日(米国時間)、Intelに50億米ドルを出資し、NVIDIAのNVLinkを使って両社のアーキテクチャを接続したスーパーチップを共同開発すると発表したことから、業界はそのニュースでもちきりとなった。こうした動きにより両社は、データセンターとPCの両分野において、次世代AIコンピューティングを支配していきたい考えのようだ。

» 2025年09月25日 09時30分 公開
[Nitin DahadEE Times]

 NVIDIAが2025年9月18日(米国時間)、Intelに50億米ドルを出資し、NVIDIAのNVLinkを使って両社のアーキテクチャを接続したスーパーチップを共同開発すると発表したことから、業界はそのニュースでもちきりとなった。こうした動きにより両社は、データセンターとPCの両分野において、次世代AIコンピューティングを支配していきたい考えのようだ。

IntelのCEOであるLip-Bu Tan氏(左)とNVIDIAのCEO、Jensen Huang氏 IntelのCEOであるLip-Bu Tan氏(左)とNVIDIAのCEO、Jensen Huang氏 出所:Lip-Bu Tan氏

NVIDIAとIntel、それぞれのメリット

 これについてインターネットで情報を検索すると、「地殻変動のような戦略」や「地政学的情勢の変曲点」「Intelの復活」「AIエコシステムの再構築」などのさまざまな評価が目に入ってくる。実際のところ、今回の取引は、両社それぞれに異なるメリットをもたらす。Intelは財政的に大きな後押しを受けられ、NVIDIAは、最近低迷していた中国事業に対する新たな対抗戦略を得られるなど、両社による賢明な動きだといえる。またNVIDIAは、同社のNVLinkプロトコルを広く普及させ、x86エコシステムに参加できるようになる。

 ただし両社は「Intel Foundryは今回の契約には含まれていないため、ファウンドリーには引き続きTSMCを選ぶことになる。少なくとも現在のところ、純粋に製品開発を行うためのパートナー提携だ」と述べている。

両社に年間25〜50億米ドルの機会を創出

 NVIDIAの創設者でありCEOを務めるJensen Huang氏によると、今回のパートナー提携は、両社に年間当たり25〜50億米ドルの収益機会を生み出す見込みだという。同氏は、今回のニュース発表後にバーチャル開催されたプレスブリーフィングにおいて、「われわれは、業界最高のCPUとGPUを融合させ、NVIDIAのGPUチップレットを搭載した、新しいIntel x86 SoC(System on Chip)を開発し、PC体験を再定義しようとしている。今回の提携は『コンピューティングは根本的に変化した』という認識を示すもので、今やアクセラレーテッド/AIコンピューティングの時代が到来したのだ。本日は、とてもエキサイティングであり非常に重要な一日となった」と述べている。

 さらに同氏は「IntelとNVIDIAは、前進していくために提携した。今回の歴史的な素晴らしいパートナー提携において、私の長年の友人であるLip-Bu Tan氏や、Intelの大勢の同僚たちと協力していけることをとてもうれしく思う」と付け加えた。

 IntelのCEOであるLip-Bu Tan氏は、Huang氏に対して賛辞を送り、「Jensen氏と共に新たな時代を構築していくことにとても興奮している。これは、両社にとって歴史的な協業であり、非常に重大かつ重要なマイルストーンだ。私はこれを、一致協力していく『ゲームチェンジングな(流れを大きく変える)チャンス』と考えている。NVIDAがIntelの投資家になることは大きな誇りだ。われわれを支援し、大きな信頼を寄せてくれていることにとても感謝している」と述べている。

Intel Foundryに関する質問が相次いだ会見

 両CEOがバーチャルブリーフィングを開催したのは、Huang氏がまだ英国ロンドンに滞在していて(めずらしくスーツにネクタイ姿だった)、トランプ大統領の英国公式訪問の一環として英国王/首相との会談に参加していたためだ。

 メディアブリーフィングでは、多くのジャーナリストが、今回のパートナー提携/出資の中にIntel Foundryの米国内での製造が含まれるのかどうかを質問していたが、両CEOは直接回答することは避け、「今回発表した提携は、製品開発だけに焦点を当てたものだ」と述べるにとどめた。両社がそれぞれの報道向け発表資料で述べているように「NVIDIAの強みであるAI/アクセラレーテッドコンピューティングと、IntelのCPU技術/x86エコシステムとを統合することで、顧客向けに最先端のソリューションを提供する」のだという。

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