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NVIDIAやCerebrasをはるかに上回るトークン性能、欧州新興のAIチップ運用コストも最小限に抑える(1/3 ページ)

欧州のAIチップの新興企業であるEuclydは、トークン当たりのコストを低く抑えられるハードウェアアーキテクチャを披露した。同社のチップ「Craftwerk」は、16384個のSIMDプロセッサを搭載し、最大8PFLOPS(FP16)または32PFLOPS(FP4)を実現する。NVIDIAやCerebras Systemsをはるかに上回る、2万トークン/秒を実行できるとする。

» 2025年11月06日 11時00分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]

 欧州のAIチップスタートアップであるEuclydはステルスモードから脱し、2025年9月15〜17日に米国カリフォルニア州サンタクララで開催された「AI Infra Summit」で、野心的なハードウェアアーキテクチャの詳細を発表した。同アーキテクチャは、既存のソリューションよりも低消費電力でトークン当たりのコストを低く抑えられるという。

 Euclydの共同創設者で製品担当バイスプレジデントを務める Ingolf Held氏はEE Timesに対し、「当社の野望の1つは、この技術を世界に向けて“民主化”することだ」と語った。

 Held氏は「ブレインストーミングを重ね、大規模データセンターの推論向けソリューションの開発を行うことを決断したが、いくつかの基本ルールを設けた。電力消費は最大の運用コストであるため、最高の効率を実現して運用コストを最小限に抑えることを目指した。そうすれば、米国だけでなく、あらゆる国の数十億米ドル規模のハイパースケーラーに展開できるようになると考えた」と語った。

 Held氏は「白紙の状態から始めることで、問題を根本から検討して、コンピューティング、メモリ帯域幅、メモリ容量に同時に取り組む機会を得られた」と述べている。

 Euclydが提案するシリコンは「Craftwerk」と呼ばれる巨大なマルチチップレットSiP(System in Package)設計で、16384個のSIMDプロセッサを搭載し、最大8PFLOPS(FP16)または32 PFLOPS(FP4)を実現する。これらの処理要素は、Euclydがゼロから設計する。Held氏によると、同デバイスは、2.5Dおよび3D要素を備え、最大限に大きなシリコンインターポーザー(約100×100mm)を使用するという。

マルチチップレット設計のモックアップ 出所:Euclyd マルチチップレット設計のモックアップ 出所:Euclyd

 同氏は「ArmやRISC-Vからは一切継承せず、自社開発で構築するため、社内プログラミングツールで完全にプログラム可能だ。現行のトランスフォーマーをサポートするが、それに限定されるわけではない」と述べている。

 Held氏によると、同設計は、マルチモーダル推論や推論、リカレントモデル、状態空間モデル、拡散モデルなど、将来どんな技術が登場しても加速できるようにプログラマビリティを維持するという。

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