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「世界最高」電力効率74.3%のGaNパワーアンプ、富士通絶縁膜挿入で漏れ電流抑制(1/2 ページ)

富士通は、パワーアンプにおいて、8GHzで「世界最高」(同社)の電力変換効率74.3%を達成する技術を開発したと発表した。窒化ガリウム(GaN) HEMTにおける高品質な絶縁ゲート技術を開発したことで、高効率と高出力の両立を実現したという。8GHzは6Gの候補周波数帯であるFR3(Frequency Range 3)の一部だ。

» 2026年03月09日 10時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 富士通は2026年3月5日、パワーアンプにおいて、無線通信やレーダーなど広く活用が可能な周波数8GHzで「世界最高」(同社)の電力変換効率74.3%を達成する技術を開発したと発表した。窒化ガリウム(GaN) HEMTにおける高品質な絶縁ゲート技術を開発したことで、高効率と高出力の両立を実現したという。8GHzは6Gの候補周波数帯であるFR3(Frequency Range 3)の一部だ。

絶縁膜を挿入したMIS構造で漏れ電流抑制

 近年、AIの進展やデジタル化によって通信のトラフィック量は急激に増加している。その中でも人や車といった移動体との無線通信は、通信速度や消費電力の観点では光ファイバーなどの有線通信と比べると不利で、継続的な性能向上が求められている。

 GaN HEMTは他材料ベースのトランジスタと比べて出力や効率に優れることから、移動通信の基地局や各種レーダー向けパワーアンプとして広く用いられている。従来のGaN HEMTは、電流を制御するためのゲート電極に、金属と半導体を直接接触させるショットキー接合を用いているが、この構造では高電圧や大電流による動作時に漏れ電流が発生し、出力や効率が低下することが課題となっていた。

 これに対して富士通は、漏れ電流を抑制するために、ゲート金属とGaN半導体の間に窒化シリコンアルミニウム(SiAlN)の絶縁膜を挿入した金属-絶縁体-半導体(MIS)型の構造を開発した。

富士通が開発したGaN HEMTの断面模式図 富士通が開発したGaN HEMTの断面模式図[クリックで拡大]出所:富士通
GaN HEMTのゲート特性 GaN HEMTのゲート特性[クリックで拡大]出所:富士通

 このSiAlNの成膜にはGaN半導体と同じ有機金属化学気相成長法(MOCVD)を用いることができ、半導体の結晶成長直後にSiAlNを形成することで、絶縁膜そのものだけでなく絶縁膜と半導体の界面も高品質化できる。さらに、SiAlNと窒化ケイ素(SiN)の2種類の膜を積層することで、ゲートフィールドプレートと呼ばれる張り出し構造を形成し、高電圧動作時の電界集中も抑制した。

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