前編に続き、電源供給網を安定化する技術について解説する。データセンターの電力消費予測と、次世代の電源回路アーキテクチャ、電源供給の効率向上(損失低減)などを取り上げる。
(ご注意)今回は前編の続きです。まず前編を読まれることを強く推奨します。
前編(前回)では、STCO(システムと製造の協調最適化)で考慮すべき項目「(5)Power delivery efficiency(電源供給の効率)」の概要説明を始めた。具体的には、電源電圧を不安定にする要因、電源インピーダンスの周波数特性、電源インピーダンスの高周波対策をご報告した。
後編ではデータセンターの電力消費予測と、次世代の電源回路アーキテクチャ、電源供給の効率向上(損失低減)などについてご説明する。
始めはAIデータセンターの総電力消費である。2025年における総電力消費エネルギーは、およそ500TWhとみられる。2030年には700TWh〜1250TWhに拡大すると予測する。そして2035年には750TWh〜1750TWhとさらに上昇する。最悪の場合、10年で3.5倍に増える。
AIデータセンターの総電力消費予測(高め(Lift-Off)から低め(Headwinds)まで、4通りの予測がある)[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)総電力消費の上昇を緩和する有力な手段の1つが、電源回路の統合化である。前編でも述べたように、AI/HPC向け高性能プロセッサへの電源電圧は、プリント回路基板に搭載した定電圧回路(VR)や電源管理IC(PMIC)、インダクター(L)などによって供給されてきた。
AI/HPC向け高性能プロセッサを搭載した先進パッケージ(CoWoSなど)が要求する電源の仕様は最近、極めて厳しくなりつつある。供給電力の肥大化(電力密度の増大)、負荷の時間的な変動への反応時間短縮、損失の低減(効率の向上)などだ。
要求に応える手段の1つが、先進パッケージ内部に電源回路を設けることである。具体的には、中間基板(インターポーザ)の内部に電源管理IC(PMIC)とインダクター(L)を埋め込む。「統合化定電圧回路(IVR:Integrated Voltage Regulator)」とも呼ばれる。電源回路の体積が縮小するとともに負荷変動に対する反応速度が高まり、電源回路での損失が減る(電源の効率が上昇する)。
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