従来の電源供給アーキテクチャ(プリント回路基板の定電圧回路からGPUモジュールに電源を供給する場合)と、新しい電源供給アーキテクチャ(プリント基板の定電圧回路からIVRを経てGPUに電力を供給する場合)で、効率を比較しよう。
従来の電源アーキテクチャでは、定電圧回路モジュール(VRM)の出力電圧12VがGPUモジュールに届くまでに、20%の損失が生じる。GPUモジュールでは12Vを1V前後に降圧するため、さらに20%が失われる。GPUモジュールが受け取る電力は、元の60%に低下する。
新しいアーキテクチャでは、VRMから先進パッケージのIVRまでの距離が短い。損失は2%にとどまる。IVRでは降圧と安定化のために10%〜15%の損失が生じる。そしてIVRからGPUモジュールまでの供給損失が3%、GPUモジュールでの降圧による損失が5%ある。GPUモジュールが受け取る電力は、元の75%〜80%となる。従来のアーキテクチャと比べ、15ポイント〜20ポイントの効率向上が見込める。
電源アーキテクチャと効率(損失)の比較。上は従来のアーキテクチャ。下はIVRを設けた新しいアーキテクチャ[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)「統合化定電圧回路(IVR:Integrated Voltage Regulator)」による、もう1つの重要なメリットが電源インピーダンスの低減である。前編で述べたMIMキャパシター、eDTCよりも10MHz以下の周波数領域におけるインピーダンスは低い。IVRの電源インピーダンスはピーク周波数がベースラインと同じ数十MHzにあるものの、インピーダンスのピーク値はベースラインと比べて10分の1以下に減っている。
電源インピーダンスの低減は、電源による雑音(電源電圧変動)の低減をもたらす。高周波領域での雑音が減ることにより、高周波領域での信号品質が向上する。
統合化定電圧回路(IVR:Integrated Voltage Regulator)を組み込んだ先進パッケージの電源インピーダンス。左はパッケージの構造。右は電源インピーダンスの周波数特性(縦軸はインピーダンス、横軸は周波数)[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)(次回に続く)
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