Intelは、Lip-Bu Tan氏が新CEOに就任してから1年後に改革を進めており、先進パッケージング分野においてTSMCから一部のシェアを奪う可能性がある。TSMCは、同社のコンピュートダイをIntelなどの競合メーカーに開放する可能性については排除していない。Wei氏は「共有すべきビジネスは数多く存在する」と述べる。
Wei氏はカンファレンスコールで「われわれは、競合他社も非常に魅力的な技術を提供しているということを理解しているが、顧客企業がより多くの選択肢を持てるようになるため、歓迎している。それにより、われわれが顧客企業とさらに多くのビジネスを行えるようになるからだ」と述べている。
Jones氏は「Intelは、パッケージング分野において非常に素晴らしいチャンスを持っている」と指摘する。
Kundojjala氏は「Intelの先進パッケージング技術『EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)』は本物の技術だが、問題はそのエコシステムと生産量にある」と述べる。
「TSMCのCoWoS生産能力全体のうち、NVIDIA1社だけで50%以上を占めている。Intelにとっての課題は、顧客が『前工程のウエハーと後工程のパッケージングを同じベンダーから調達することで、歩留りを最適化したい』と考えている点だ。この2つを分離すると、統合上のリスクが生じるためである」(Kundojjala氏)
Wei氏は「TSMCは、パネルレベルのパッケージングに向けた新技術を導入している。現在、当社のCoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)技術のパイロットラインを構築しており、数年以内には生産を開始できる見込みだ」と述べる。CoPoSは、レチクル限界を超える大規模なAIチップレットやHBMスタックの密度を高めることが可能だ。
TSMCのパッケージングパートナーであるASEは2026年初めに、業界初となるパネルレベルのパッケージングの生産拡大を加速させていることを明らかにした。
Jones氏によると、最先端技術を適用したウエハー/パッケージングの供給不足は、2030年まで続く見込みだという。
同氏は「2030年には、2nm以降の需要が月産ウエハー40万〜45万枚に達するだろう。しかし生産能力は、月産ウエハー30万〜35万枚となる見込みだ」と予測する。
TSMCは、最新のプロセスノードである「A14」での生産を2028年に開始すると発表した。A14はTSMCの2nmプロセスと比較して、同一電力で最大15%の高速化、同一性能で最大30%の消費電力削減、ロジック密度は20%以上向上させているという。
ただし、Kundojjala氏によると、クリーンルームの建設に加え、いくつかの制約がTSMCの生産能力を制限しているという。
「ASMLは現在、極端紫外線(EUV)露光装置において複数の顧客を抱えている。Applied Materials、Lam Research、KLA、東京エレクトロンなどが手掛けるEUV以外の露光装置も、EUVに比べればリードタイムは短いものの、供給能力に制約がある。中東情勢はヘリウム、ネオン、特殊化学品の価格上昇圧力を生み出しており、台湾の天然ガス(LNG)のサプライチェーンは試練に直面している。これら3つのうち、2027年まで最も大きな制約となるのは装置の供給だ」
Wei氏は、Elon Musk氏が発表した、Tesla、SpaceX、xAIの3社連携による「Terafab」構想を一蹴した。
「IntelとTeslaはTSMCの顧客ですが、同時に競合でもある。特にIntelは手ごわいライバルだ」とWei氏は述べる。「ファウンドリー業界の基本的なルールは変わらない。必要なのは技術力、製造能力、顧客からの信頼、そして何よりもサービスだ」
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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