AppleはCEOであるTim Cook氏が退任し、ハードウェアエンジニアであるJohn Ternus氏が後継となることを発表した。Ternus氏はAppleの自社製半導体の開発や「Apple Watch」「Vision Pro」などの製品開発を指揮してきた人物だ。優れた経営者であるCook氏からエンジニア出身のTernus氏への交代は、Appleが製品開発主導のイノベーションへ回帰することを示すものだとも考えられる。
「サプライチェーンの天才」として知られるApple CEOのTim Cook氏が退任し、ハードウェアエンジニアであるJohn Ternus氏にバトンを渡すという。2026年4月20日(米国時間)に発表した。Ternus氏は、Intel製プロセッサに代わる「Mac」用半導体の自社開発を率いた人物だ。また、Appleのハードウェアエンジニアリングの責任者として、スマートウォッチ「Apple Watch」やワイヤレスイヤフォン「AirPods」、ヘッドセット「Vision Pro」などの開発も指揮してきた。
Ternus氏は現在、Appleのハードウェアエンジニアリング部門担当シニアバイスプレジデントを務めていて、2026年9月1日にCEOの職務を引き継ぐ予定だ。一方Cook氏は会長に就任し、長年にわたり同職を務めてきたArt Levinson氏の後継となる。Cook氏はこれまで約1年間をかけて、後継者の選定を進めてきたという。
今回のCEO交代は、何を示すのだろうか。Cook氏は優れた経営者として広く知られ、Appleの時価総額を2011年の3500億米ドルから、2026年には約4兆米ドルにまで引き上げたが、同氏は製品開発型のCEOではなかった。同氏がデバイス事業から大きな利益を絞り出し、Appleは世界最高の企業価値を実現したが、15年間の在任期間中にAppleのイノベーションの勢いが失われたとする批判的な見方もある。
Ternus氏は、親しみやすい人柄のエンジニアで、Appleのハードウェア部門でキャリアを積み上げてきた。25年にわたる職務の中で、同社にとって最も重要な製品である「iPhone」や「iPad」、AirPodsなどの開発を担ってきた。このため、同氏がトップの座に就いたことは、Appleが製品主導型のイノベーションへと回帰していくことを意味するのではないだろうか。
それと同じくらい重要なのが「Appleは、この10年間のAIの波に乗り遅れた唯一のビッグテックだと見なされている」という事実だ。しかしAppleは、2011年にiPhoneにバーチャルアシスタント「Siri」を搭載することによって、最初に人々の心をとらえたスマートフォンメーカーだったことも特筆すべきだろう。
一部報道によると、Appleは2026年、Googleのサポートを受け、Geminiモデルを搭載した新しいSiriを投入する予定だという。Ternus氏を待ち受ける最初の課題は、バーチャルアシスタントSiriの改良を実現し、AppleをAI業界で再び重要な存在にすることではないだろうか。同氏が今後、歴史上最も成功を収めた民生機器であるiPhoneへどのようにAIを統合していくのか、注視していきたい。
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