技術研究組合 最先端半導体技術センター(LSTC)は、1nm世代以降のロジック半導体で採用が期待されるルテニウム/エアギャップ(Ru/AG)配線構造において、製造ばらつきが絶縁寿命に影響することを解明した。
技術研究組合 最先端半導体技術センター(LSTC)は2026年6月、1nm世代以降のロジック半導体で採用が期待されるルテニウム/エアギャップ(Ru/AG)配線構造において、製造ばらつきが絶縁寿命に影響することを解明したと発表した。信頼性向上につながる設計指針を確立したことで、AIサーバやスマートフォン向け半導体デバイスのさらなる高速化や低消費電力化が可能となる。
今回の研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/Beyond 2nmおよび、短TAT半導体製造に向けた技術開発」の一環として実施されたもので、横浜国立大学や電気通信大学および、imecが連携し共同で行った。
最先端のロジック半導体は、トランジスタだけでなく配線も微細化の限界を迎えつつある。こうした中、従来の銅配線に代わる技術として期待されているのがRu配線と配線間に空気の絶縁層を設けるAG技術である。細線になっても抵抗が増えにくく、信号遅延が極めて少ないからだ。一方で、配線構造が微細で複雑となるため、製造時の寸法ばらつきが、寿命や信頼性に影響する可能性があるという。
LSTCはimecと連携し、300mmウエハーを用いた次世代の配線材料とその信頼性について研究を行っている。今回は1nmノード以下のロジック半導体に適用されるとみられるRu/AG配線を対象に、製造工程で生じるわずかな寸法のばらつきが、絶縁膜が壊れる現象(TDDB:絶縁破壊寿命)に与える影響などを調べ、統計的に解明した。
実験では、10nm幅のRu配線を向かい合わせに並べた構造の試料を用いた。配線間には、10〜14nm(メタルピッチは20〜24nm)間隔のエアギャップを設けた。100℃の環境でこの試料に電圧を印加し、絶縁膜に電流漏れが急増するまでの時間を測定して寿命を評価した。
この結果、配線間隔が広いほど電界が弱まり絶縁膜への負担が小さくなるため、寿命が長くなることが分かった。同じチップでもウエハー中央部ではエアギャップがわずかに広いため長寿命となり、外周部ではそれが狭くなって短寿命となる傾向がみられた。
さらに、配線ピッチが22〜24nmにおいては、寸法ばらつきが寿命ばらつきの主因であることを確認した。ただ、20nmだと寸法差だけでは説明できないばらつきも現れるなど、製造プロセスの難易度が高まれば、局所的に欠陥が集中しやすくなることも判明した。
LSTCは今後、Ru/AG配線間の電界分布や局所的な欠陥発生を考慮した、より高精度な寿命予測モデルの開発に取り組む。同時に今回確立した統計解析技術を、2nm以降の微細配線設計に適用していく予定。
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