データセンター顧客が、次世代の低消費電力メモリ「LPDDR6」への関心を強めているという。長らくモバイル向けが主流であったLPDDRだが、LPDDR6には、データセンターのニーズに応えるための機能が多く追加される予定だ。
米国の電子部品関連標準化団体JEDECの次期アップデート規格となる「LPDDR6」には、AIデータセンターにおけるメモリ需要の高まりに対応するいくつかの機能が盛り込まれる予定だ。
LPDDRは長年にわたり、スマートフォンやタブレット、超薄型ノートPCの関連技術とされてきたが、現在は、メモリを大量に使用し、消費電力の削減を目指すAIデータセンターに供給の大部分が奪われている。
JEDECの低消費電力メモリに関する小委員会「JC-42.6」は、2025年7月に基礎となる「JESD209 6」のリリース以降、LPDDR6規格をモバイルプラットフォーム以外にも拡張し、電力効率が高く大容量メモリを必要とする特定のデータセンターや高速化コンピューティングのワークロードのサポートに注力してきた。
JC-42.6小委員会の委員長を務めるHung Vuong氏は、米国EE Timesとのブリーフィングで「性能を向上させながら消費電力を削減することは、あらゆるJEDECメモリ規格の基本である。データセンターの顧客は特にLPDDRに関心を示している。今回のLPDDR6の改訂では、データセンターのニーズに焦点を当てた多くの機能が追加される」と語った。
同小委員会のバイスチェアマンを務める長島修氏は、LPDDR6の主要な特徴の1つとして、より狭い、ダイ当たりのインタフェース(「x6モード/x6サブチャネルモード」)を挙げる。これにより、大容量化が可能になる。「帯域幅に関しては、前バージョンから10〜20%程度の向上にとどまり、大きな飛躍はないが、密度は倍増させることができる」と同氏は述べている。
ノンバイナリのインタフェース幅への移行と、x6サブチャネルモードの追加により、パッケージ当たりのダイ数が増え、コンポーネント当たりおよびチャネル当たりのメモリ容量も増やせる。
長島氏は、「AIトレーニングや推論ワークロードの増大し続けるメモリ容量要件に対応するために、現在のLPDDR5/5Xの最大容量を超える、最大512GB(ギガバイト)の達成を目指している」と述べている。
今回のアップデートには、「LPDDR6 SOCAMM2」モジュール規格も含まれる予定だ。これは、コンパクトでメンテナンス性に優れたモジュールフォームファクタを進化させ、現在の「LPDDR5X SOCAMM2」モジュールからの明確なアップグレードパスを提供するように設計されている。SOCAMMは、従来のモジュールに比べて2.5倍の帯域幅を提供しながら、消費電力を約3分の1に削減できるため、AIシステムのエネルギーおよびスペースの制約に対処するのに最適である。
Micron Technologyは2026年初め、AIインフラ向けにデータセンタークラスのモジュール型LPDDR5Xメモリモジュール「256GB SOCAMM2」をリリースした。
JEDECによると、より広範なLPDDR6ロードマップを補完する「LPDDR6プロセッシングインモリ(LPDDR6-PIM)」技術の標準規格も完成が近いという。
Vuong氏は「LPDDR6-PIMは演算ロジックをメモリチップ内部に直接組み込むことで、メモリが単にデータを保存するだけでなく、計算を実行できるようにする。その目的は、処理の一部をメモリにオフロードすることだ」と述べている。
長島氏は「これにより、AIワークロードの主なボトルネックとなっているCPU/GPUとRAM間のデータ移動が軽減され、消費電力も削減される」と説明している。
Vuong氏は、LPDDRは過去5年間でデータセンター向けメモリへと移行してきたと語った。当初は主にスマートフォン向けだったが、Dell、Lenovo、HPといった企業がLPDDR5技術の価値を認識するにつれ、クライアントコンピューティング分野へと進出していった。
Vuongによれば、消費電力がますます重要な指標になる中、LPDDR6やSOCAMMがデータセンター顧客の注目を集めているという。「現在、AIとデータセンターがメモリのエコシステムをけん引しているといえるだろう」と述べる。「(LPDDR6の)機能の大部分はすでに定義済みで、現在は細部を確認し、見落としがないかを見極めている段階だ」
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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