ニコンが、半導体製造装置の販売戦略の見直しを図っている。2028年までに、新型のArF液浸プラットフォームを発表する予定で、ASML製リソグラフィ装置との互換性も構築していくという。
ニコンが、同社製リソグラフィ装置の価格を引き下げる計画を発表し、注目を集めている。複数の部品を自社製造することで、全体的なコストを削減するという。2026年4月に同社の代表取締役 兼 社長執行役員 CEOに就任した大村泰弘氏は、日経新聞の取材に応じ、「現在、米国やアジアの大手半導体メーカー数社とArF露光装置の供給について話し合いを進めており、一部の案件が発注につながりそうだ」と述べている(参考)。
同社は2028年までに、新しいレンズとウエハーステージを備えた新型のArF液浸プラットフォームを発表する予定で、ASML製リソグラフィ装置との互換性も構築していくという。これは非常に重要な点である。というのは、もちろん価格も重要だが、その一方でファブのエンジニアが、ニコン製装置で構築したレイヤーを、ASML製装置でパターニングを行ったレイヤーに再調整しようとする際に、問題が生じるためだ。
もう1つ注目すべき重要な点は、ASMLが極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置分野で独占的な地位を確立しているのに対し、ArF液浸は成熟した深紫外線(DUV)技術の一部であるということだ。しかし、3nmプロセスノードでさえ、数多くのパターニングステップをArF液浸で実行している。つまり、このような成熟したDUVプロセス分野は、依然として最先端チップでも重要な役割を担っているということだ。
ASMLは、旧型のDUVリソグラフィ装置分野において、キヤノンやニコンと直接競争しているが、ArFリソグラフィ装置の製造を手掛けるメーカーは、ASMLとニコンの2社だけだ。ただし、両社のスキャナー技術のロードマップは全く異なっている。
業界観測筋の間では「ASMLが、ニコンのDUV装置販売について気をもむようなことはないだろう」という見解で広く一致している。真の課題は、ニコンがEUV装置開発を何とかして実現した場合に生じることになるだろう。それは、非常に複雑なシステムエンジニアリングの驚くべき成果となるからだ。
一部の業界関係者からは、ニコンを「次のIntel」と呼ぶ声もある。Intelは、ファウンドリービジネスに賭けて出たが、結局のところファブの生産能力不足によって助けられる形となり、ファウンドリー分野では相変わらずTSMCが優勢を維持している。リソグラフィソリューションの価格を引き下げるというニコンの動きが、ASMLの受注残によって生じている製造装置の不足を支援する可能性があると考えられている。
ニコンに対するもう1つの好意的な見方として、1社のメーカーが半導体工場向けのリソグラフィ装置を独占しているという状況は、競争が激化する半導体業界にとっての危険信号と見なされるという点がある。このため、ニコンが数年の後れを取っているとしても、リソグラフィ市場における競争は非常に重要である。それは、たとえメガファブであるIntelとSamsung Electronics、TSMCの3社全てがASMLの株主であってもだ。
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