三菱電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」で、最新の第5世代炭化ケイ素(SiC)MOSFETを公開した。従来の第4世代品からオン抵抗を約25%低減したもので、PCIMでは同社パワーデバイス製作所Chief Expertの多留谷政良氏がその概要を語った。
三菱電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」(2026年6月9〜11日/ドイツ・ニュルンベルク)で、最新の第5世代炭化ケイ素(SiC)MOSFETを公開した。従来の第4世代品からオン抵抗(RDS(on))を約25%低減したもので、PCIMでは同社パワーデバイス製作所Chief Expertの多留谷政良氏がその概要を語った。
三菱電機のSiCデバイス研究開発は1990年代にさかのぼり、現在はトレンチ型の第4世代(Gen 4A)SiC MOSFETを量産している。今回紹介した第5世代(Gen 5)はその次の世代で、主なターゲット用途は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などxEVのメインインバーターだ。
今回の第5世代で最も大きく変更したのがセル構造だ。さらなるオン抵抗低減にはセルの微細化が有効だが、セルを縮小すると別の課題が生じる。トレンチ型SiC MOSFETでは、セル内部にゲート酸化膜と層間絶縁膜が形成されている。セルをさらに縮小すると、これら絶縁膜が占める割合が増え、SiCとソース電極を接続するコンタクト領域が狭くなる。このコンタクト領域は大電流を流すために必要であり、面積が不足すると十分な電流を流せなくなる。
それ故、「(三菱電機の製品は)第4世代でも最先端レベルの性能を実現している」(多留谷氏)ものの、第5世代品ではセルを単純に微細化するわけにはいかなかった。
第5世代では、この課題を解決するため、ゲート酸化膜と層間絶縁膜の構造を見直した。具体的には、ゲート酸化膜と層間絶縁膜を一部埋め込む構造を採用することで、ソースコンタクト領域を確保したままセルピッチをさらに縮小できるようにした。多留谷氏は「この構造によってソース電極との接続に必要なスペースを十分確保したまま、セルをさらに微細化できるようになった。これが第5世代のキーテクノロジーだ」と強調していた。
この構造によって第5世代では、第4世代と比べオン抵抗を約25%低減したという。第5世代では1200V品と750V品を展開し、5×5mmチップではゲート電圧20V時に1200V品で6.8mΩ、750V品で4.8mΩを実現するとしている。
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