今回発表したプロトタイプの意義は、SnVセンターを採用したことだけではない。富士通は、ダイヤモンドをチップ上に集積する技術や光回路、量子ビットを制御するハードウェア/ソフトウェアまで含め、量子コンピュータとして動作するシステムを構築した。プロトタイプは、量子ビットを収める冷凍機のほか、光制御機器、高周波制御機器、独自制御システムなどで構成される。
富士通は、Snをイオン注入したダイヤモンド基板と、アルミナ/酸化膜付きシリコン基板を接合する異種材料接合技術を開発した。数百マイクロメートルの厚さがあるダイヤモンドを数百ナノメートルまで薄くする薄層化技術も開発し、ダイヤモンドと光導波路を同一チップ上に集積した。
SnVセンターから放出された光子を効率よく取り出すために、アルミナ製の光導波路を備えたフォトニクス集積回路も作製した。限られたスペースに多数の量子モジュールを配置していく上で、こうした集積化技術が重要になるという。
量子ビットを制御するシステムも新たに開発した。ダイヤモンドスピン方式では、光やマイクロ波、RF波を組み合わせて量子ビットを操作する。富士通は、量子回路をダイヤモンドスピン方式向けの制御命令に変換する技術を開発し、同社の「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」からプロトタイプを操作できるようにした。
佐藤氏は2025年の成果との違いについて「2025年の時点では、いわゆる物理実験のようなものだった。今回は、それをシステムとして制御できるものを作り上げた」と説明した。
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