Semiconductor Intelligenceが2026年8月に発表した、世界半導体企業ランキング。筆者は、このランキングにTSMCや、急成長するメモリメーカーがいないことに強い違和感を覚えた。そこで、各社の決算資料を基にランキングを作り直してみたところ、ChatGPT登場から約4年で世界半導体産業の勢力図が根本から塗り替えられつつあるという、予想以上に劇的な光景が浮かび上がってきた。
2026年8月26日、米調査会社Semiconductor Intelligence(以下SI)は、2026年第2四半期(4〜6月)の世界半導体売上高ランキングを発表した。それによれば、1位は米NVIDIA、2位は韓国Samsung Electronics(以下、Samsung)、3位は韓国SK hynix、4位は米Micron Technology(以下、Micron)、5位は米Broadcomであり、日本のキオクシアは前四半期比76%増という高い伸びを示して8位にランクインしたとEE Times Japanが報じている。
半導体メーカーのランキングには、調査会社によって集計方法の違いがある。ファウンドリーを含めるのか、非上場企業をどう扱うのか、半導体以外の事業をどこまで除外するのかによって、順位は変わる。そしてSIは長年、ファウンドリーを省いている。だが、やはり筆者は、TSMCや、中国最大のDRAMメーカーCXMT(長鑫存儲)、NANDメーカーYMTC(長江存儲)が入っていない状態には、強い違和感を覚える。「現在、世界の半導体メーカーが実際にどのような勢力図になっているのか」を、より正確に把握したいのであれば、TSMCや急成長する中国メモリメーカーを除外したランキングだけでは、進行中の地殻変動を捉えきれないのではないか。
そこで筆者は、各社の決算資料を一つずつ調べ、CXMTとYMTCについては四半期売上高の開示が限られる期間についてIPO資料や市場調査データなど入手可能な資料から推計し、「純粋な半導体売上高」をできるだけ同じ物差しで比較するランキングを作り直してみることにした。
なお、各社の四半期決算の締め月は異なるため、本稿では各社のCYまたはFYの決算月に基づき、2026年5〜7月期に相当する四半期を比較対象とした(従ってSIの4〜6月期とは対象期間が若干ずれる企業がある。なお、5〜7月期としたのは、多くの半導体メーカーの決算がCYの6月期であるが、Micronは5月期、NVIDIAとBroadcomは7月期の決算だからである)。すると、予想以上に劇的な結果になったのである。
図1が、筆者が独自に集計した2026年5〜7月期の四半期半導体売上高ランキングである。1位はNVIDIAで962億ドル(以下、特に記載がない限り米ドルとする)、2位はSamsungで832億ドル、3位はSK hynixで518億ドル、4位はMicronで414.6億ドルとなった。ここまではSIのランキングと同じ顔ぶれだが、5位には402億ドルのTSMCが入る。さらに6位にBroadcom(208.4億ドル)、7位に米Intel(161億ドル)と続いて、8位にCXMT(142億ドル)、9位に米AMD(115.4億ドル)、10位にYMTC(113.6億ドル)が入り、キオクシア(111.3億ドル)は11位となった。
誤解のないように言えば、キオクシアの売上高が間違っているわけではない。比較対象を広げれば順位が変わるということである。SIのランキングはファウンドリーと中国のメモリメーカーを含まない集計であり、その枠組みの中では「キオクシアの8位」は正しい。しかし、TSMCと中国勢を加えた図1のランキングこそが、2026年の世界半導体産業の実際の勢力図に近いと筆者は考えている。
しかし、筆者がさらに驚いたのは順位そのものではなかった。図1の右端に示した、4年前の「2022年5〜7月期から何倍の売上高になったか」を見てほしい。
図1の右端の倍率を見ると、CXMTが46.69倍、YMTCが21.74倍、NVIDIAが14.35倍と、突出した成長を遂げている。CXMTの2022年5〜7月期の売上高はわずか3.1億ドル、YMTCは5.2億ドルにすぎなかった。それが4年後には、両社とも100億ドルを超える四半期売上高に達し、世界トップ10の常連企業を次々と追い抜いた。
その一方で、Intelは1.05倍とほぼ横ばい、米Qualcomm、台湾MediaTek、スイスSTMicroelectronicsに至っては0.91倍と、2022年の水準を下回っている。つまり、同じ「半導体メーカー」でも、この4年間で50倍近くになった企業と、ほとんど成長していない(あるいは縮小した)企業が存在するのだ。
なぜ、これほどの格差が生じたのか。その答えを探すため、時間軸を2015年まで戻して考察してみよう。
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