図2は、筆者が作成した売上高トップ12の半導体メーカーの四半期売上高の推移を2015年から示したものである。2015年から2022年までは、各社ともメモリ市況などの景気循環による浮き沈みはあるものの、おおむね200億ドル前後までのレンジの中で推移していた。この時代の首位争いは、IntelとSamsungが演じていた。
ところが2023年以降、様相が一変する。NVIDIAが猛烈な勢いで上昇を開始し、それをTSMCとBroadcomが追う。さらに2025年から2026年にかけて、Samsung、SK hynix、Micronのメモリ3社が垂直に近い角度で急上昇する。OpenAIがChatGPTを公開した2022年11月30日を境に、世界半導体産業の成長軌道が明らかに変わったことが読み取れる。
もちろん、全ての因果をChatGPT一つに帰することはできないが、この日が生成AI普及の象徴的な転換点であったことは間違いない。そしてAI需要は、半導体産業に段階的に波及していった。第1段階はGPUのNVIDIA、第2段階はその製造を一手に担うファウンドリーのTSMC、第3段階はAI ASICやネットワーク半導体のBroadcom、第4段階は広帯域メモリ(HBM)のSK hynix、Samsung、Micron、そして第5段階として、AIデータセンター向け需要がDRAMとNAND全体の市況を押し上げ、キオクシアや米Sandiskを含むメモリ各社に波及した。冒頭のSIランキングでキオクシアが8位に浮上したのは、まさにこの第5段階の現象と言えよう。
ただし、図2の線形軸のグラフでは、NVIDIAやSamsungの規模が巨大すぎて、CXMTとYMTCの動きはほとんど地面を這っているようにしか見えない。そこで、縦軸を対数にしたのが図3である。すると、景色が一変する。
筆者の推計では、CXMTとYMTCは2019〜2020年ごろには四半期売上高が1億ドルにも満たない規模だった。それが、対数軸上ではほぼ直線的な成長軌道を続け、2026年には両社とも100億ドルを超える水準まで駆け上がっている。対数軸のグラフで直線的に伸びるということは、毎年ほぼ一定率の指数関数的成長を続けてきたことを意味する。上位企業がレンジ内で波打つ中、この2社だけが異質な成長曲線を描いているのだ。
この背景には、中国政府による巨額の半導体産業支援だけでなく、生成AIがもたらしたメモリ価格の高騰、中国国内の旺盛な需要、そして両社の生産能力拡大という3つの要因が重なったことが挙げられる。米国の厳しい対中半導体規制にもかかわらず、レガシー寄りのメモリ分野で中国勢が世界トップ10の一角に食い込んできた事実は、重く受け止めるべきだろう。
それでは、ChatGPT登場直前の2022年と現在を直接比較すると、誰が本当に成長したのか?
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