図4は、主な半導体メーカー28社について、2022年5〜7月期に対する2026年5〜7月期の売上高倍率を大きい順に並べたグラフである。赤色が中国メモリ企業、黄色がAI半導体関連のFabless&Foundry、緑色がDRAM・NAND等のメモリ企業を示す。この図から、世界の半導体メーカーは4つの群に分かれることが分かる。
図4 主な半導体メーカーの2022年5〜7月期から2026年5〜7月期にかけての売上高倍率[クリックで拡大] 出所:各社の決算報告および一部筆者推計、各社のCYまたはFYの決算月の四半期売上高から筆者計算第1群は、爆発的成長を遂げた中国メモリ企業である。CXMT(46.69倍)とYMTC(21.74倍)が、他を圧倒する伸びを示した。第2群は、AIの直接的勝者であるNVIDIA(14.35倍)、Broadcom(3.15倍)、TSMC(2.21倍)だ。第3群は、AI需要がメモリのスーパーサイクルに波及して恩恵を受けたSK hynix(4.82倍)、Micron(4.80倍)、台湾Nanya Technology(4.26倍)、キオクシア(3.93倍)、Samsung(3.76倍)、Sandisk(3.74倍)などのメモリ企業である。そして第4群が、AIの恩恵が相対的に小さいIntel(1.05倍)、米Texas Instruments(1.05倍)、MediaTek(0.91倍)、Qualcomm(0.91倍)、日本Renesas(0.90倍)、台湾UMC(0.90倍)、米GlobalFoundries(0.90倍)などである。スマホ、PC、車載、産業機器を主戦場とする企業は、軒並み横ばいか微減となっている。
ここから、本稿の一つ目の結論が導かれる。ChatGPT前夜の2022年5〜7月期から爆発的AIブームとなった2026年5〜7月期にかけて、世界半導体企業は「全員が成長した」のではない。AIデータセンターにつながるAI半導体メーカーとメモリメーカーに成長が集中したのである。
ところが、筆者が今回データを集計していて最も驚いたのは、売上高ではない。営業利益である。図5は、売上高トップ12の半導体メーカーの四半期営業利益の推移を示したものだ。
2015年から2022年までは、各社の営業利益は100億ドル前後までのレンジで推移しており、メモリバブル期の2018年にSamsungが約130億ドルに達したのが最高だった。ところがChatGPT公開後、NVIDIAの営業利益が真っ先に急上昇し、2026年5〜7月期には637億ドルに達した。さらに2025年後半からはSamsung(660億ドル)、SK hynix(448億ドル)、Micron(333億ドル)が文字通り垂直に立ち上がっている。TSMCも243億ドルという高水準である。一つの企業の「四半期」営業利益が600億ドルを超えるという事態は、2022年以前の半導体産業の常識では考えられなかった。
その一方で、Intelは2024年に大幅な赤字を経験し、2026年5〜7月期の営業利益はわずか18億ドルにとどまる。首位グループとの差は、実に30倍以上である。AIブームは半導体メーカーの売上高を増やしただけではない。利益の分配構造そのものを変えてしまったと言える。
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