韓国政府は現在、韓国製品への関税を引き下げるために米国政府に対して提示している3500億米ドルの投資コミットメントの履行をめぐって、米国と協議を行っている。しかし、Intelとの製造提携は、最先端メモリチップの生産を米国本土にもたらすという点で、他に類を見ないものとなるだろう。
また、韓国のメモリ大手2社(SamsungおよびSK hynix)が、AI設計におけるストレージ需要の高まりに対応するため、生産能力の拡大という多大なプレッシャーにさらされていることも明らかだ。しかし、韓国政府は、AI競争における同国の競争力を維持するため、国内でのメモリチップ生産能力の増強を目指している。
一方、米国政府は、国内における先端半導体製造の強化を目指しており、現在主に台湾と韓国に依存している海外サプライチェーンへの依存度を低減したいと考えている。米国で先端メモリウエハーを生産している大手企業は、Micronだけである。
SK hynixの会長を務めるChey Tae-won氏はこの課題について熟考を重ねてきた。2026年7月には、メディアに対し、SK hynixがメモリチップの増産という強いプレッシャーに直面していることを認めた。「米国に工場を建設する必要があるだろう。可能であれば、建設すべきだと考えている」と同氏は述べている。
業界観測筋は、SK hynixとの提携は、現在米国政府が一部出資しているIntelにとって、財政的負担をいくらか軽減することになると指摘している。また、半導体メーカーに対し、米国でのファブ建設を強く求めてきた米国政府にとっても、大きな成果となるだろう。
SK hynixは、米国インディアナ州ウェストラファイエットに約40億米ドルを投じて、先端パッケージング施設を建設する。HBM専用のこの先端パッケージング/テスト施設は、2028年下半期に本格稼働を開始する予定だ。
HBMなどの先端メモリデバイスのフロントエンド製造は戦略的に重要であるため、IntelとSK hynixの間で報じられている協議は注目に値する。SK hynixは、米政府と韓国政府の双方を満足させながら、微妙なバランスを保つ必要がある。
とはいえ、この取引が間近に迫っているのは、ビジネス上の必要性によるものではなく、この提携の可能性の背後に潜む、はるかに大きな地政学的な背景によるものと思われる。両社の動きを注視していきたい。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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